企業で意向に大きな差
北海道経済連合会は、2019年12月から20年1月にかけて外国人材の雇用についてアンケートした。会員企業など回答を得た168社中、29.2%に当たる49社が外国人852人を雇用。19社が検討していた一方、60%に当たる計100社は予定なしだった。また、建設業は道内に本店を置くゼネコンや大手ゼネコンの支店など14社が回答。雇用中・検討中と予定なしがそれぞれ半々だった。道内の外国人労働者数は増加傾向にあるが、雇用意向は企業によって大きな差があることがうかがえる。
外国人の雇用予定がない理由(複数回答あり)としては「国内の人手で足りている」(48社)が最多で、「適切な人材を確保できるか分からない」(42社)、「コミュニケーションが確保できない」(28社)と続いた。
また、雇用している理由(複数回答あり)は「業務上、語学の精通者が必要」(23社)が最多で、「総体的に優秀な人材だから」(18社)、「人手不足対策」(16社)と続く。上位2つを挙げた企業はホテル・旅館業やサービス業、情報通信業が半数を占め、職種は主に営業やSEなど。海外拠点のない企業も現地を訪れ、大学やエージェントに人を紹介してもらうといった採用に熱心な所があった。
雇用意向の有無が業種によって偏っていることはなかったという。同会労働政策局の林純一部長は「どの企業でも雇用のハードルは低くない。人手や語学などリソース確保のためにやむを得ず、という側面があるのでは」と推測する。
建設業では、道内ゼネコンの傾向として専門人材を求める傾向がはっきりしていた。
分布の様子も特徴的だ。在留資格別の雇用企業数(複数回答あり)と労働者数を見ると、「専門的・技術的分野」は、28社が149人を雇用中(1社に5・3人)なのに対し、技能実習は8社で341人(同43人)だった。在留資格による雇用規模はばらつきがある。
コロナ禍の影響は限定的だった。雇用中・検討中の16社へ20年夏にヒアリングしたところ、8割は活用意向が変わっていない。現地での採用活動や技能実習生の入国が困難な中、制限の早期緩和を望む意見も多かった。ただ、コロナ禍の影響が甚大だったホテル・旅館業や小売業などは計画を白紙に戻している。
生産年齢人口の減少を背景に、道内の経済発展を担う上で外国人材活用は欠かせない。一方で、途上国の人材高度化や地方での人材集めの課題などを踏まえると、採用は難しさを増すことが予想される。将来を見据えた適切な人材投資が鍵になりそうだ。
(北海道建設新聞2021年4月19日付2面より)