川村組と大成塗装工業が尽力
町の大切なアーチ橋を守らなければ―。
上士幌町内にある北海道遺産の旧国鉄士幌線アーチ橋梁群を構成する第二音更川陸橋で、4月に落書き被害が判明。川村組(本社・上士幌)と協力会社の大成塗装工業(同・音更)が無償で復旧し、元の姿を取り戻した。
第二音更川陸橋で見つかった落書きは縦2m、横2・5m。アーチ内側に黒、白、赤のスプレー塗料が塗られていた。川村組は上士幌町観光協会から相談を受け、落書き除去に協力した。
第二音更川陸橋は1936年建設で劣化が著しい。コンクリートの状態を確かめるために2度の下見をすると、塗料が内部に染み込んでいた。
川村組の森井博之常務は「アーチ橋は町の宝物。削るわけにはいかない」と、2種類のシンナーで塗料を溶かすことに決めた。
作業は12日早朝に始め、両社から参加した5人が細心の注意を払って落書きの除去に臨んだ。鉄製ブラシと柔らかい布を使い分けながら、シンナーで溶かした塗料を落とした。特に赤の塗料が消えにくく困難を極めたが、約3時間半かけて落書きを落としきった。
森井常務は「これからも町の大切なものを守る取り組みを続けたい」と話した。(帯広)
(北海道建設新聞2021年6月17日付9面より)