母国語に対応 イラスト付きで労災防止をサポート
現場の危険を目で見て、読んで、理解して―。帯広労基署は外国人労働者の労災防止につなげようと作業の注意点を示したポスターを独自に作製した。「転倒注意」「火気厳禁」などの6種類を用意。大きなイラストに中国語とベトナム語の注意書きを添えている。要望があれば、業種を問わず新しいポスターや日本語を翻訳した安全教育資料を作製する。
十勝管内の外国人労働者は昨年10月時点で1774人。農業が43.4%、製造業が16.8%を占め、次いで建設業が13.1%となっている。
特に畜産業での事故が増えている。原因を調べると安全教育を正しく理解していないことや、先輩社員の作業を見よう見まねで実践して被災したケースが多かった。
対策として母国語に対応する分かりやすいイラスト付きのポスターを考案。今回は農業や製造業に多い労災の防止に向けた6種類を用意した。同署の若手職員がフリー素材のイラストを駆使して作り、道労働局のベトナム人通訳と函館労基署の中国人通訳がそれぞれの言語で注釈を付けた。
今後は建設業を含む他業種にも展開する考え。要望を受ければ2週間程度で作製する。言語は英語、中国語、ベトナム語に対応。既に管内建設業者から依頼を受け、日本語の新規入場者教育の資料をベトナム語に翻訳している。
土谷啓二郎署長は「現場では外国語で書いてあっても意味が正しく伝わらない表示もあると聞く。企業や業界の意見を聞き、現場の実態に即した物を作りたい」と話す。うまくいけば地元業界団体や他地域に水平展開する考えだ。
作製済みのポスターは同署が配布するほか、道労働局のホームページからダウンロードできる。(帯広)
(北海道建設新聞2021年8月3日付面より)