札幌市がまちづくりガイドライン
札幌市は老朽化による建築物建て替えが活発化する見込みの西区琴似本通地区を対象に、まちづくりガイドラインをまとめた。琴似・栄町通に接する敷地で広場や歩行空間の整備、建物1階部分への店舗・飲食店導入などに取り組んだ場合、容積率を最大200%加算することを検討。11月上旬の都市計画審議会に諮問し、12月中旬の計画決定を目指す。
琴似・栄町通を中心とする同地区の分譲マンション増加を背景に、歩きやすさの向上、商店やにぎわいの連続性を誘導するため、ガイドラインを策定した。
対象範囲は琴似・栄町通沿いの商業地域で、西区琴似1条1―7丁目、同2条1―7丁目、山の手3条1丁目、八軒1条西1丁目、同1条東1丁目の各一部。JR琴似駅や地下鉄東西線琴似駅、バスターミナル、西区役所・区民センターを含む。
容積率は誘導用途(商業施設、医療施設、社会福祉施設、文化交流施設など)の導入や歩道沿い空地、広場の整備によって最大120%の加算が可能。加えて、地下鉄琴似駅との地下接続で30―50%、地域交流拠点琴似の魅力をさらに高める取り組みでさらに最大80%加算できるが、加算容積率は200%を上限とした。
誘導用途には、1階部分のガラスファサードなどによる内部可視化をはじめ、歩行者の通行空間全面にピロティなど屋根のある空間、コージェネレーションシステムなどによるエネルギープラント、ZEB・ZEH―M(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル/マンション)建築物、道路・公園・広場、公共駐輪場の各整備などを設定。それぞれ一定の容積率を加算できる。
地区計画で整備したオープンスペースでは、ベンチの設置やキッチンカーの配置など日常的な活用やイベントの開催で、にぎわい創出を図る。
23日に開いた地域説明会では、参加者から容積率加算によって日照権のトラブルが生まれるといった声や歩道のセットバック、ロードヒーティングの敷設費用負担に応じない地権者がいた場合、道の連続性がなくなるという懸念も上がった。
地区計画は12月中旬の計画決定・告示を経て、2023年3月下旬に建築物の制限に関する条例を改正する見通しだ。
エリア内のある地権者は「このガイドラインにより、一帯の老朽ビルの建て替えが盛んになれば」と期待している。