伊達市が建設を計画する、新たな学校給食施設「だて歴史の杜食育センター」の整備概要が分かった。プロポーザルで事業候補者に選定したグループによる特定目的会社(SPC)の提案によれば、S造、2階、延べ3184m²の規模とし、市民の健康増進などへ貢献する自主的事業を展開することが大きな特長。開会中の定例市議会で承認を得られれば本契約を締結し、10月から実施設計、2016年2月には準備工に着手する見通しだ。
伊達小敷地内にあり壮瞥町との学校給食組合で運営してきた元町共同調理場が老朽化し、現行食品衛生管理基準への対応が困難になっているほか、大滝区にある調理場の統合を図るため、総合防災公園だて歴史の杜敷地内の約4000m²に新施設を建設するもの。
設計・建設から運営管理までを民間事業者のSPCに一括発注するPFI方式のうち、施設完成後に市へ所有権を移した上で維持管理・運営を任せるBTO方式を採用。
事業提案では、1日3300食の学校給食提供と、食育の推進や有珠山噴火などに備えた災害対応なども求めた。
事業候補者として選定したのは、運営を担う日総を代表に、設計・工事監理の札幌日総建、建設を担当する須藤建設、厨房(ちゅうぼう)設備のマルゼン、維持管理の太平ビルサービス、事業マネジメントの長大によるグループ。既にSPC「ふれあいだて歴史の杜食育センター㈱」を設立している。
提案によると、単なる給食センターにとどまらない、食を通じて市民の健康づくりを支える「オンリーワンの総合食育拠点」が全体コンセプト。
施設は公園内の景観に配慮しながら外部動線を線引き。施設内は給食エリアと一般エリアを隔壁で明確に区分するだけでなく、アレルギー対応食部門と一般食部門とを完全に分離。食育に関しては「食」を学べる見学スペースなどを配置し、関連する企画を提供する。
大きな特長である地域に貢献する自主事業では、市民の健康増進や食育・地産地消の推進、高齢者の生きがいづくり、食のブランド化などを提案。体験型の食育実験講座、高齢者や地元生産者が参加するふれあい給食、公園内の総合体育館と連携した食と運動プログラムのほか、地元食材による商品開発、レシピの開発・提供にも取り組む。
32年12月の事業完了までの契約額は税込み約46億7600万円(増減の可能性あり)。内訳は建設一時金が約20億9000万円、完了までの分割で支払う備品調達・開設準備の割賦料が2億700万円余り、同様に維持管理・運営費が23億7800万円余りとなっている。
計画概要は、契約案件と併せて議会に提示。承認後の本契約締結を経て、SPCは10月から実施設計に入り、年明け2月には準備工に着手、10月には鉄骨建て方など本体工事を本格化し、17年秋には厨房機器設置、完成検査、開業準備と進め18年1月には施設を引き渡す。冬休み明けの3学期から運営を開始する予定だ。