ドローンの安全運用やオペレーター育成をテーマにした技術講習会が人気だ。国土交通省の活用施策に加え、8月の台風被災での活躍もあり、建設業などの現地調査ツールとして急速に浸透。これに併せ、オペレーター育成の需要が高まっているが、入門系の講習は少なく、すぐに定員に達する場合も多いという。
ドローンの安全な活用に向けた普及啓発に取り組むNPO法人デジタル北海道研究会は、10月から本格的な教育事業を始めた。21日に開いた座学の技術講習会は「募集とほぼ同時に、定員100人が満席」という。
追加開催の要請も多く、11月25日に2回目の講習会を企画するが、既に70人の申し込みがあり、年内に3回目の開催も考えている。
飛行実技の訓練メニューも用意する。11月17日には、飛行時間10時間以上の経験者を対象に、ドローン大手DJI社の機体を使った初心者向けのワークショップを開催。
DJIの日本正規代理店・HELICAMの丹野宏平社長を講師に、午前は札幌市内で座学、午後はDJI製「ファントム」を使い、当別町の私有地で屋外練習をする。
同研究会は、人気の背景について「ホビーの延長や試験導入から、急速に業務運用への切り替えが進んでいる。業務では法令や安全、緊急時行動に関する知識習得は欠かせないが、現在は教育の場が少ない」と説明。このため、2017年度にかけ、恒常的な講習や屋外練習ができる場の確保など本格的な教育、人材育成事業を展開していく考えだ。
一方、建設業での急速な普及については、機体性能の向上と低価格化、台風被災での活躍など活用イメージがしやすくなったことを要因に挙げる。
DJI社が相次いで新機種を発売するなど機体性能は短期間で格段に進化した。精度の高い写真測量には高額な機体が必要だが「現地の空撮や概略の調査レベルであれば業務用でも20万―30万円台で調達できる」と話す。
加えて、国土交通省の活用施策と、8、9月の台風被害で現地調査に活躍する姿が導入意欲を高めたとみる。
特に8月の台風以降、建設業への導入が急速に進み、「台風被害の調査で、速報性など有用な現場調査ツールとして認識された。北海道は他の地域に先駆け、定着に向けて突き抜けた感がある」と強調する。