札幌市円山動物園は、新たな基本構想の策定に着手する。マレーグマの死や、不適正な契約事務発覚などを受けて現構想を白紙とし、動物園に求められる役割の変化を踏まえ中長期的な運営の方向性を再構築する。策定時期は2018年夏がめど。新構想に基づく実施計画は19年度に策定する予定で、ここに運営施策や施設配置計画などが盛り込まれる見通し。
同園の運営に関しては、07年3月に策定した基本構想に基づき、10年単位の基本計画で方向性を示していた。17年度からは、第2次基本計画に移行する予定で作業を進めていたが、飼育動物の相次ぐ死や、昨年の不適正事務など運営課題の発覚で作業を断念。
求められる役割の変化や継続的に飼育する動物の計画など中長期の運営方針を示す基本構想を、ゼロベースで構築し直すことにした。
専門家の議論やワークショップを通じた市民、来園者の意見、他の動物園事例を参考にしながら検討を重ねる考え。年度内に構想案をまとめ、市民意見募集などを経て18年夏の策定を目指す。
現構想は収支均衡や年間来園者の拡大に重点が置かれていたが、新構想では動物の福祉・愛護に配慮した質の高い施設整備や運営とともに、日本動物園水族館協会が示す種の保存や環境教育が主要なテーマとなる見通しだ。
この動きに伴い、完成が近いホッキョクグマ・アザラシ館や着工したアジアゾウ舎など一部を除き現在計画中の施設整備は凍結。
新構想に基づいてまとめる実施計画の中で必要性を含めてあらためて検討し、方向性を再度位置付けることにしている。実施計画は現在の基本計画に当たるもので、18年度から取りまとめに入る見通し。
新構想策定業務は公募型プロポーザルで外注する。参加資格は一般サービスの登録者で市内に本店、支店を置く者とし、7日午前10時から同園で説明会を開き、13日まで参加意向の申し出を受け付ける。企画提案の提出期限は19日午後4時となっている。