中標津町は、2017年度バイオマス産業都市構想の提案を農林水産省に提出した。10月上旬にも選定地域が決まる見通しで、認証されれば、補助金を活用し、複数の農家が検討を進めている第2俣落地区の集中処理方式バイオガスプラント建設が事業化に向けて動きだす。中標津町農協もバイオガスプラント建設の事業化検討を進めている。
町は約5年前から家畜ふん尿の臭気対策や循環型社会の形成としてバイオガスプラントの建設を検討。13年度に中標津町農協、計根別農協、根室農業改良普及センター北根室支所、道立総合研究機構根釧農業試験場、農業者らで構成する中標津町バイオマス利活用検討協議会を設置し、協議を進めてきた。
16年度には新エネルギー導入促進協議会(NEPC)の地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金(構想普及支援事業)の採択を受け、共同提案者のエネコープ(本社・札幌)と共に、事業化可能性調査を実施した。
その結果、固定価格買い取り制度(FIT)の活用については、中標津町市街地周辺は送電線が少なく厳しいが、計根別地区は送電線が多く十分活動できると判明。家畜ふん尿の賦存量調査では、乳牛が中標津町農協で47万3000㌧、計根別農協で20万6000㌧が見込まれることが分かった。ことし3月21日には国の補助金以外の建設資金調達について農家や農協関係者16人を集め、ファンドの説明会を開いている。
農家20人ほどのグループが勉強会を開き、そのうち第2俣落地区の3―5軒の農家が集中処理方式のバイオガスプラント建設の話を進めている。同地区の場合FIT活用に向け新たに送電線を設けるか、蓄電式にする必要があるが、送電線の設置には6000万円ほどがかかる見通しだ。
町のバイオマス産業都市構想が認証された場合、第2俣落地区の農家グループは建設コンサルに依頼して事業計画をまとめ、補助金を活用しながら基本・実施設計、施工を進めたい意向だ。
また、町内では中標津町農協でも建設の検討を進めており、町の産業都市構想の認証によっては、こちらも事業化に向け動きだす見通し。
中標津町ではバイオガスプラント建設の動きに対し「今のところ町が事業主体になることは考えていないが、コンソーシアムとして協力して事業を進める可能性はある」とし、「町内で最初の1件のプラント建設が動きだせば、どんどん建設が進んでいくのではないか」と話している。