2018年1月に合併する札幌信用金庫、北海信用金庫、小樽信用金庫の3信金は、合併後、3年以内に7支店を廃止することで検討を進めている。当面は出張所として運営するが、各支店の廃止時期について、18年6月に開く総代会で方向性を示す見通し。地方だけでなく札幌や小樽など立地条件の良い店舗も対象に挙がる。店舗が退去した金融機関の建物は、売却する例がほとんどだが、最近では金融庁による規制の見直しで、地方自治体など公共利用とする賃貸ができることから、今後の動向が注目される。
3信金が合併し「北海道信用金庫」としてスタートを切る一方で、近隣で運営する各店舗については、統廃合を検討している。今回、先行して廃止を検討するのは北海信金が、小樽支店、手稲前田支店、琴似支店、東苗穂支店、豊平支店、小樽信金が朝里支店、岩内支店の計7店を数える。札幌信金の店舗は対象になっていない。
北海信金に関しては、JR小樽駅に近かったり、商業施設が付近にある住宅街など立地条件の良い場所での店舗が多数ある。登記簿によると、テナント入居する琴似支店以外は自前で不動産を保有している。廃止後の店舗利用について北海信金、小樽信金ともに「白紙の状態。何も決まっていない」と明言を避けるが、来年開く総代会までに、廃止時期を含め一定の方向性を示したいとしている。
近年、道内の金融機関は人口減少に伴い、合併や事業効率化、施設の老朽化などを理由に、店舗数を縮小する動きが進んでいる。その一方で、今後、過疎化が進む地域を中心に空き店舗が増えることが予想され、施設の有効的な活用が課題の一つに挙がる。
銀行業を担う企業は、自社ビルを運営するなどの不動産業はできない。このため、廃業した店舗を売却する例がほとんどだ。最近では学習塾運営会社の札幌進学プラザが、北洋銀行の宮の森支店跡地を取得する動きがある。
そうした中、ことし9月末に発表した金融庁の監督指針で、不動産に関する内容が一部改正。国や地方自治体などによる地域の実情を踏まえた公共利用に関しては、施設の賃貸を認めた。
信用金庫をはじめとする金融機関は、道内市町村と地方創生実現に向けた包括連携協定の締結を推し進めているだけに、空き店舗をただ売却するのではなく、地域の活性化を目指して、利活用する選択も増えてくることが予想される。