札幌市は、円山動物園運営の基本方針となる「ビジョン2050」案をまとめた。動物の幸福度を指標にした動物福祉を柱に据えた飼育展示で、訪れた人が自然の大切さを実感し、行動を促す園づくりを目指す。園内整備など具体事業は、2019年度にまとめる5年間の実施計画に反映する。
開園100年を迎える2050年に向けた運営方向を示すもの。11日の総務委員会で、加藤修園長が報告した。1月に市民意見を募り、18年度中の策定、19年度から取り組み開始を見込む。
取り組みは動物福祉を根幹に、生物多様性の①保全②教育③調査・研究④リ・クリエーションを重点に据えた。リ・クリエーションは造語で、動物園を通じた教育など「再創造」を促す意味を込めた。
飼育展示する動物も、動物福祉の観点から考え方を整理する方針を掲げた。十分な繁殖環境の確保や飼育面積などが得られるかなど考え、繁殖する動物種を分類。十分な条件が整わない場合は、飼育を断念する場合もあることを明確にした。
園内は今後、この考えを基本に整備する方針。老朽施設の更新では、可能な限り動物福祉に配慮した床面積の確保が重視されるほか、給餌は自然に近い条件の確保、群れ動物には、生態に配慮した展示などの工夫をこらすことになる。