道建設部は、砂防関係施設と海岸の2つの長寿命化計画案をまとめた。道が管理する砂防関係施設は、砂防堰堤や急傾斜地崩壊防止施設など合計1719カ所(基)で、このうち2019年度から10年間で修繕・改築が必要なのは212カ所(基)とした。また、海岸保全施設の堤防と護岸は1081区間のうち、10カ年で296区間の老朽化対策が必要とした。予防保全型維持管理を進めた場合の更新・対策費用は、砂防関係施設が90年間で約605億円、海岸保全施設が50年間で約238億円を試算する。
国が13年度に示したインフラ長寿命化基本計画に基づき、道が15年度に策定した北海道インフラ長寿命化計画の行動計画の個別施設計画として位置付けるもの。計画期間はどちらも2019―28年度の10カ年。
道が管理する砂防関係施設は17年3月末時点で、砂防堰堤1175基、地滑り防止施設66カ所、急傾斜地崩壊防止施設466カ所、雪崩防止施設12カ所となっている。このうち砂防堰堤は、20年後に約6割が完成から50年以上経過する。
16、17年度の詳細点検による3段階の健全度評価で、施設に損傷などが発生していて機能低下や性能上の安定性、強度劣化が懸念される「要対策」という評価を受けたのは合計208カ所(基)。これに、点検時は「経過観察」という評価だが、計画期間内に「要対策」に移行すると考えられるものを加えると、10年間の修繕・改築対象と事業費は、砂防堰堤が72基で約66億円、地滑り防止施設は22カ所で約20億円、急傾斜地崩壊防止施設は118カ所で約38億円を見込む。雪崩防止施設は対象がなかった。
予防保全型維持管理の導入により90年間の更新・対策費用は、従来の事後保全型と比較して約723億円のコスト縮減効果があるとしている。
海岸保全施設の堤防と護岸は総延長376㌔を道が管理していて、20年後には約7割が完成後50年以上の老朽施設となる。
14―16年度に1081区間の老朽化点検を実施し、4段階の健全度評価では275区間が施設に大きな変状が発生するなどで「措置段階」、231区間が沈下やひび割れが生じているなどで「予防保全段階」と評価された。計画期間内では191地区海岸の296区間を修繕し、事業費は約51億円を見込んでいる。
予防保全型の維持管理では、事後保全型よりも50年間で約448億円の縮減効果が期待される。