コロナ禍もニセコのホテル工事続く

2020年06月01日 07時00分

感染防止徹底で警戒緩めず

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が多分野に波及する中、道内屈指の大型リゾート開発が進むニセコエリアではホテル建設の多くが工事を継続している。後志総合局や倶知安、ニセコ両町の担当者は「建設中の案件について工事中断や工期延長の連絡・相談はほとんどない」と口をそろえる。国内外の事業主が参入するニセコでホテルの施工を請け負う、ある建設業者に感染防止の取り組みや工事継続の判断を下した背景を取材した。(小樽支社・塚本 遼平記者)

リゾート施設が立ち並ぶひらふエリア。周辺では多くの現場で工事が続く

 ホテルの現場では、新型コロナウイルスの問題が国内外で表面化して以降、感染対策を強化してきた。作業員らの検温は必須で、手の消毒も義務付けた。マスクも作業に支障のない範囲で着用を促し、できる限り密集状態にならないよう注意を払っている。

 発注者や設計事務所との打ち合わせは、基本的にウェブ会議に切り換えた。以前はニセコに拠点を置く、発注者サイドのマネジメント会社の事務所で毎回協議をしていたが、重要な協議以外では直接の対面を避けてリスク軽減に努めている。

 ただ、現場で対策を講じても、材料調達が困難になり工期延長の危機にさらされる局面もあった。中国政府が武漢の都市封鎖を決めた1月下旬から、中国製品の注文受け付けが滞り始めた。トイレやユニットバス、ドアのハンドル、フローリング材―。現地から輸入される製品の納品見込みが立たなくなった。

 これに伴い、発注者側に工期延長を打診することもあった。新型コロナウイルスの影響で施工困難になるケースが「不可抗力」に当たると明示した国土交通省の通知を準用し、資材納期の不透明化で工期やホテル引き渡しが遅れる可能性を伝えた。「すんなり納得してくれたオーナーもいれば、そうでない場合もあった」といい、発注者側の反応は一様ではなかった。

 4月末から受け付けは徐々に再開し、一時の危機的な状況を脱した。ただ、今後は工事完了が近づく中、感染拡大の進行で再び同様の事態が起これば工期延長のリスクはさらに増幅する。懸念が完全に払拭(ふっしょく)されたわけではなく、状況を注視する日々が続く。

 工事を中断せず工期を順守する判断は、さまざまな考えが交錯する中で下されたものだ。ニセコのリゾート開発は国際的な契約をこなしてきた海外事業者が少なくないだけに、工期延長は受注者として極力避けたい事態だ。作業員の雇用を維持し、本道経済の重要な一角を担う建設業の歩みを止めたくない思いもある。他方、現場の作業員をはじめ関係者の感染は何としても避けねばならない。

 葛藤の中、社としては感染防止策を徹底した上で工事を継続する道を選択。作業員の中から1人でも感染者が出た場合は、速やかに工事をストップし、2週間の中断期間を設けるとの基準も作った。「最大限の防止策を前提に、眼前にある工事を全うしていく」というスタンスだ。

 25日に緊急事態宣言は本道も含め全面解除された。工事が終盤になるほど多くの工種の作業員が出入りし、人数も増える。今後も警戒を緩めることなく、当面は対策や方針を維持する考えだ。

(北海道建設新聞2020年5月29日付1面から)


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