三毛別ヒグマ襲撃を風化させるな 苫前町がGCF検討

2021年01月17日 10時00分

 苫前町三毛別で起きたヒグマ襲撃を風化させない―。1915(大正4)年12月、巨大なヒグマは集落を襲って胎児を含む8人の命を奪い2人に重傷を負わせた。史上最大級の獣害事件だ。その悲惨な出来事を後世に伝えるとともに、先人への供養の気持ちを込め、苫前町は88年に庁舎前にヒグマのモニュメントを建てたが、現在は老朽化が進行。町は補修に向け、ふるさと納税を活用するガバメントクラウドファンディング(GCF)を2021年に実施することを検討している。

苫前町のシンボルであるヒグマのモニュメント

 ヒグマのモニュメントは今ではまちのシンボルに。来訪者が撮影するなど観光スポットの一つとなっているが、長年の風雨や雪により鉄骨の腐食、塗装の劣化が進んでいる。

 ヒグマのモニュメントは強化プラスチック(FRP)製で高さが約4m。前後に顔が付いていて、どちらからでも撮影が可能。ヒグマを支えるアーチは鉄骨で高さが7m、幅が3mある。

 完成後、30年以上経過し劣化が著しく、アーチとヒグマ本体を結ぶ金具が破断。安全対策のためゴムバンドで固定している。アーチ部は腐食して穴が開き、塗装が所々剥げ落ちるといった損傷が発生している。

 町ではGCFを活用して、基礎部の補修やヒグマ本体の再塗装、アーチを更新したい考え。担当者は「寄付してもらうにはストーリー作りが大切」と話し、寄付者を募るための物語構成に腐心している。

 また、町は建設後、約20年たった道の駅「風W(ふわっと)とままえ」改修にもGCFの利用を検討している。空調やボイラ、湯温・室温を制御する設備更新、外壁のひび修繕を計画し、財源の一部としたい意向だ。(留萌)

(北海道建設新聞2021年1月14日付8面より)


関連キーワード: クラウドファンディング 留萌

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • 東宏
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,443)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,259)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,173)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,101)
函館開建が国道5号の常盤川交差部に橋梁新設の可能性...
2024年04月17日 (783)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。