日高線廃線に伴う地域振興費 管内7町に5億円分配

2021年08月24日 10時00分

バス停留所改修や運賃補助に

 JR北海道はこのほど、日高線廃線に伴う管内7町への地域振興費として5億円を分配した。各町は今後、9月定例議会で基金への積み立てを補正予算計上するなどし、将来的にバス停留所の改修や運賃補助への活用を見込む。

新ひだか町内の静内駅舎

 日高線は、2015年の高波による護岸崩壊をきっかけに、鵡川―様似間116㌔が不通になった。日高町村会が中心となり早期復旧に向けJRと協議を続けていたが、20年10月に廃線を受け入れる覚書を交わした。ことし4月1日付けの廃線と同時に、道南バスとJR北海道バスが転換バスを運行している。

 JRからは、廃線に伴う拠出金として総額25億5500万円が支払われることになっている。うち今後18年間のバス運行費を除く地域振興費5億円が、各町の財政規模を踏まえて分割、支給された。用途や期限は定めていない。

 振興費は、えりも町を除く6町が基金へ全額積み立てるとしている。様似町は12日の臨時議会で補正予算を可決済み。新ひだか町は12月以降3月までの定例議会に、ほか4町は9月定例議会に補正予算案を提出する予定だ。

 支給額が最も大きかったのは新ひだか町で、1億224万円。用途は固まっていないものの、バスのハブ地点となっている静内駅周辺の整備のため、JRから駅舎を買い取る費用に充てる可能性を示す。

 日高町は9211万円、新冠町は8058万円、浦河町は8799万円の配分。今後、庁内で支援金の活用事業を洗い出す。

 日高町市街地活性化対策室では、富川地区で計画するバスターミナルを含む複合施設新設に触れ、「公共交通関連の施設なので、支援金活用に手を挙げる可能性がある」と話す。

 新冠町は、将来的に施設の補修などに必要な分を都度取り崩すことを想定する。

 様似町の配分額は7795万円。用途は決まっていないが、様似駅周辺やJR北海道バス様似営業所の待合所整備への活用が浮上している。

 このほか、鉄路が通っていなかったえりも町は2853万円、平取町は3056万円。額が少ないため、大規模な施設整備には活用しない方針だ。

 えりも町の大西正紀町長はバス利用者への運賃割引を実施したい考えで、22年度以降の開始を視野に検討を進めている。

 平取町は、将来的にバス乗り継ぎの効率化を図るためハード、ソフト両面で活用できればとしている。

(北海道建設新聞2021年8月23日付9面より)


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