22年度国交・農水省
国土交通省と農林水産省は18日、2022年度公共工事設計労務単価を発表した。3月1日以降に契約する直轄工事に適用する。道内の伸び率(単純平均)は、42職種平均で前年度を3.7%上回り、普通作業員など主要12職種平均では4.8%上昇。11年連続で前年度の伸びを更新した。コロナ禍の影響を踏まえ、前年度単価を下回る設定となった職種の単価金額を据え置く特例措置を継続。道内では対象は3職種にとどまり、全体として相対的には単価アップが図られている。
予定価格の積算に使用する公共工事設計労務単価は、技能労働者の所定労働時間8時間当たりの基本給相当額、基準内手当、所定労働日数1日当たりの臨時給与、実物給与で構成している。
過去には4月適用としていたが、補正予算執行への迅速な反映を目的に14年から公表を前倒しした。13年度以来、継続している法定福利費相当額(本人負担分)の加算のほか、20年度から実施している有給休暇取得に要する費用も加味。今回からは、時間外労働時間を短縮するために必要な費用を新たに反映した。
また、新型コロナウイルスによる経済的影響を踏まえ、労務費調査結果に基づいて21年度単価を下回る設定となった場合、21年度と同額とする特例措置を継続している。
道内は両省の直轄・補助事業から無作為に抽出した工事982件、9211人から有効標本を確保し、集計結果を基に労務単価を決定。20年度に再設定した建具工は今回除かれ、今回は全42職種平均で2万6362円となった。この42職種平均ベースでは前年度比3.7%増、936円の増額となっている。
技能労働者数が多い主要12工種の単純平均は2万900円で4.8%増、950円の増額。37職種で増額となり、伸び率の高い順で見ると法面工、運転手(特殊)が各7.2%、土木一般世話役が7.1%、軽作業員が6.9%、鉄骨工が6.8%、鉄筋工と塗装工が各6.6%上昇している。トンネル特殊工、左官は据え置き。トンネル作業員、はつり工、ガラス工は特例措置によって21年度単価と同額になった。
全国ベースでは、全職種平均の単価は前年度比2.5%増の2万1084円(伸び率は単純平均、金額は加重平均)となり、10年連続で上昇している。
昨年はコロナ禍の影響などで全単価の4割超が減少。コロナに関する特別措置を適用したものの、全国全職種の平均単価の伸び率は1.2%増と13年以降で最低となった。
今回もコロナ禍の収束が見通せないため、前年に続き特別措置を適用したが、増加率への影響は全国全職種平均を0.2ポイント程度引き上げるにとどまった。
これは、特別措置がなくても2%を超える単価上昇を実現したことになる。昨春に国交省と建設業団体が合意した、年間で2%以上の技能者の賃金上昇を目指すとした目標を実質的に達成したとも言える。
国交省・農水省は新単価と設計業務委託等技術者単価を3月1日以降に契約する直轄工事に適用。2月28日以前に旧単価で公告し3月1日以降契約する工事に新単価を反映させる特例措置を継続するほか、2カ月以上の工期を残す工事はインフレスライド条項の適用対象として設計変更で対応する方針を引き継ぐ。
札幌市は直轄同様の対応とする方針。道は今週にも対応を決定する。
北海道建設業協会は、今回の労務単価について「今後詳細に分析するが、相対的に引き上げられたことは喜ばしい」とコメントしている。