財政健全化受け、函館市長が方針
函館市の工藤寿樹市長は2日、病院事業会計の不振で改築への検討が止まっていた南茅部病院について、財政健全化が進んでいることを受け、議論を再開させる方針を示した。
同日の2022年第1回定例市議会代表質問で、遠山俊一氏(市政クラブ)に答弁した。
南茅部地域の安浦町92にある同病院はRC造、3階、延べ2898m²の規模で、1975年に完成した。築50年近くがたち、施設、設備の両面で老朽化が進行。15年度には改築計画が持ち上がっていた。
16年度に地域住民向けの説明会を開くなど計画を周知していたが、市立函館病院の経営悪化に伴い計画がストップしている状況だ。
遠山氏は、函館病院の収支が黒字に転じているほか、恵山病院、南茅部病院の赤字幅が縮小していることを指摘。地域医療の確保に向けて「南茅部病院改築の検討に再度着手すべき」と強調した。
これに対し工藤市長は、病院事業会計の累積の資金不足額が17年度のピーク時で約32億円に達し、資金不足比率が18.3%となったことを報告。「経営健全化団体の目安となる資金不足比率20%が目前に迫り、多額の投資をできる経営状況ではなかった」と検討を止めた経緯を伝えた。
その後、経営改善が進んでいることから、これまで発行が制限されていた、公営企業の経費や建設事業の財源確保を目的とする公営企業債が「22年度からは発行できるようになる」と説明。その上で「今後、議論を再開させたい」との意向を示した。