道内林業に春の芽吹き―。道立の林業大学校「北の森づくり専門学院」は14日、1期生31人の卒業式を同学院で開いた。2年間の学びを生かし、4月から森づくりと向き合う卒業生の門出を祝福した。
同学院は、林業木材産業の担い手を育てる場として、2020年4月に創設。新型コロナウイルス感染症の影響で入学時からカリキュラムの変更や中止に見舞われながら、1期生は資格取得や伐倒練習、機械の操作習得のほか、道内各地でインターンシップに励んできた。
卒業式では、寺田宏学院長が代表の青砥愉高さん(19)に卒業証書を授与。寺田学院長は式辞で「卒業生にお願いが3つある。1つ目は労働災害を起こさないこと、2つ目は森づくりの基本を守り、森林資源の循環利用に率先して取り組むこと、3つ目は森づくりを長く続けるため、もうかる林業木材産業を目指すこと」と呼び掛けた。
卒業生答辞を務めた和泉一紘さん(21)は「進む道は違っても、北の森づくり専門学院で学んだことを誇りに、目標に向かって歩みながら社会の一員として貢献していく」と力強く語った。
1期生33人のうち、所定の課程を修めた31人が卒業を迎えた。卒業生のうち29人が就職先を決めており、残る2人は卒業後に進路を固める。道内の就職先は振興局別で空知、石狩、後志、胆振、渡島、上川、宗谷、オホーツク、十勝、釧路の10地域となっている。森林組合や民間企業、役場など活躍の場は多岐に渡る。
1次産業や移住への関心から、外務省を辞め林業の道を志した亀山陽司さん(41)は「合計4回のインターンシップで経験を積むことができた。就職後は地元の産業振興に貢献したい」と決意を語った。4月から当麻町森林組合で働く。
木材製造業のハルキ(森町)に入る大阪出身の宮本哲弥さん(23)は「経験がほとんどない製材の作業に不安はあるが、さまざまな形で木材と触れることにワクワクする」と笑顔を見せる。
カラマツやトドマツが主伐期を迎え、ウッドショックや脱炭素といった社会情勢も絡み、本道の林業木材産業は成長過程にある。卒業生の活躍に期待が掛かる。