北大空沼小屋文化財指定へ 貴重な戦前のログ工法建築

2022年03月18日 19時24分

 札幌近郊の空沼岳万計沼畔にある北海道大学空沼小屋が有形文化財に指定される見通しとなった。国の文化審議会が18日の文化財分科会で議決。文部科学相への答申と官報告示を経て登録される予定だ。市内にある山小屋の登録は初めて。

 札幌市南区常盤石狩森林管理署1157イ林小班にある北大所有の山小屋。秩父宮雍仁親王の発意により、スイス人建築家マックス・ヒンデルが設計し、1928年に建てられた。規模はW造、2階、延べ101m²で、30人程度が利用できる。

ヒンデルが手掛けたスキーヒュッテ三部作の一つ

 日本近代建築史で著名なヒンデルが手掛けたスキーヒュッテ三部作の一つ(ほかにパラダイスヒュッテ、ヘルベチアヒュッテ)で、戦前期のログ工法建築としては数少ない遺構となっている。

 構造は丸太組み工法。金具意匠や木柄の太さ、ストーブ周りの吹き抜けから、機能的でありながらもスイスの良質な山小屋を思わせるデザインだ。

 81年に土台の腐食による小屋の傾きが見つかったため、安全に配慮して一般登山客の利用を制限。2006年から沼側への傾きが顕著となり、北大山岳部OBの寄付を基に16年の改修で土台を更新。屋根の塗装は塗り替えた。

 無雪期の6月中旬から10月中旬まで利用可能としていたが、現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため閉館している。

 21年2月に北大が市に申請。登録されれば市内の有形文化財としては19年9月の旧三菱鉱業寮以来26件目となる。

 


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