北海道リート誕生へ 23年1月に運用開始

2022年05月09日 16時00分

岩田地崎など20社が出資、6月末に資産運用会社設立 

 北海道に特化した不動産投資信託(REIT、リート)が誕生する。建設や不動産などの道内企業20社は、共同出資により6月末に資産運用会社を設立することを決めた。12月末に北海道リート投資法人を立ち上げ、2023年1月の運用開始を目指す。資産規模は300億円からスタート。当面はスポンサー企業が保有するビルなどの不動産を組み込む。20年代後半をめどに、札幌や地方都市の開発案件や、成長が著しい外部のエネルギー施設、データセンターなど幅広い分野で本格的に投資する考えだ。

 9日、北海道リート設立準備室が札幌市内で会見を開き、明らかにした。

 不動産投資法人の設立企画、運用を目的とする資産運用会社の名称は「北海道アセットマネジメント株式会社(仮称)」。主に機関投資家向けの私募リートとして運営する。資本金は2億4500万円を予定。代表取締役や会社所在地は今後、決める。

 20社の出資メンバーのうち、中心的役割を担う幹事会社には札幌に本社を置く岩田地崎建設と伊藤組土建、アインホールディングス、クリプトン・フューチャー・メディア、日動、ニトリホールディングス、藤井ビル、北海道電力を選出。この中から取締役3人(非常勤)、監査役1人(同)を選任し、資産運用会社の業務執行を監督する。

 このほかの出資者には、中山組(札幌)、宮坂建設工業(帯広)、石屋製菓、土屋ホールディングス(札幌)、野口観光、ノーザンクロス(同)、フルテック(同)、ほくていホールディングス、北海道空港(千歳)、北海道新聞社(札幌)、丸ヨ池内(同)、運営支援を担当する三菱UFJ銀行が名を連ねる。

 北海道リートはメインスポンサーを持たず、多くの道内企業が関わる協同型が特徴。資産運用会社の出資比率は1社で多くても8%程度だという。先駆けて地域特化型で運用する福岡リートや東海道リートなどでは、特定スポンサー型を取っているため、全国では珍しいケースとなる。さまざまな業種の企業が関わることで、道内各地における事業機会の拡大につなげる。

 不動産投資信託の仕組みを活用することで、道内企業や自治体が保有する不動産の有効活用とまちづくり投資を促す狙いもある。そのため、大規模物件だけをリートに組み込むのではなく、地方にある中小規模の物件でも、安定利回りが確保できれば投資対象に加える。

 当面はスポンサーが保有するオフィスビルや商業施設、ホテルなどから選定。物件の候補には札幌市内の北4東6地区再開発で新設された、健康増進施設と共同駐車場が候補に挙がっている。利回りは5%程度を見込む。

 会見で説明に当たったノーザンクロスの山重明社長は、「地域の特性にあった物件にも丁寧にサポートしていく。例えば、農林水産物の輸出促進のためには、加工施設や物流施設などが必要になるだろう。そういう案件にも取り組んでいきたい」と言及。資産運用会社や出資企業、外部有識者などで構成する企画開発委員会を常設し、地元企業などと情報交換を進めながら地域課題にも取り組むとした。


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