奈良市の近鉄大和西大寺駅前で演説中だった自民党の安倍晋三元首相(67歳)が8日昼、銃のようなもので撃たれた。安倍氏は心肺停止の状態で奈良県立医科大付属病院に搬送され、懸命の治療が施されたが、死亡が確認された。発砲したとみられる男は現場で取り押さえられ、県警は殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。
突然の暴挙に国民の間には衝撃が走り、国内外からは「ショック」「許せない」とやるせない言葉が飛び交った。
安倍元首相は参院選奈良選挙区の党公認候補を応援するため、経済の回復や生活の安定、産業の振興、防衛による安全保障など持論を展開している最中の暴挙だった。
2012年に自民党と公明党が政権を奪還した。第2次安倍内閣を組閣して以降、経済政策「アベノミクス」で金融政策、財政政策、成長戦略を提唱し、実践に移した。国内には力強く復興する高揚した雰囲気が覆った。
インフラを整備し、国土を強靱化する公共事業は、相次ぐ自然災害から国土を守り、建設業で働く人々を勇気付けた。長引く受注難で若手の不在も顕著になったが、国土交通省の後押しもあり、担い手不足を克服する入札契約制度に人材を重用する加点対象を増やし、職場環境の改善、現場のICT化、外国人実習生の入職も積極的に進められ、建設業の基盤が強固になりつつあった。
道内での支持者も多く、選挙応援での演説には大勢の道民が集まった。18年9月の北海道胆振東部地震では、いち早く被災地に入り、復旧・復興への全面的な支援を約束した。