総合評価加点で引き上げ
日本建設産業職員労働組合協議会(35組合)は15日、2022年賃金交渉の中間報告を発表した。妥結報告があった31組合のうち、7割以上に当たる24組合が加盟組合員の賃金ベースアップ(ベア)を獲得。うち10組合は要求を上回る水準で妥結した。賃上げ企業に対する総合評価方式での加点措置が国の発注工事で導入されたことを受けて、多くの企業が基本給の引き上げに応じたことが結果に表れた。
日建協は、国内の準大手ゼネコンや地方ゼネコンに置く組合で組織。現時点で31組合が妥結した。
月例賃金は、31組合全てが定期昇給を含め前年実績以上の水準を確保。ベアを獲得した24組合のうち10組合は要求以上の回答を受け、5組合は要求通り、9組合は要求を下回った。
ベア獲得の24組合は19年度の最終結果と同数だが、要求以上の回答が2桁に達するのは近年ではない成果だ。
ベアの単純平均は5323円(賃上げ率1.43%)。組合員の人数を考慮した加重平均は3923円(同1.09%)。定昇とベアを合わせた単純平均は1万4109円(同3.49%)、加重平均は1万3842円(同3%)となった。
一時金は、昨年の実績を上回ったのが16組合、同額が5組合。単純平均では4・83カ月、加重平均は5・15カ月だった。
大卒者の初任給を引き上げることができた組合は14組合。このうち12組合は会社側からの提示で、さらに10組合は、日建協が標準ラインとしている24万円からのアップだった。
日建協は、21年度末に大手ゼネコンがそろって初任給引き上げを発表したことを受けて「人材獲得のため追随する動きが如実に表れた」とみている。
コロナ禍が依然として収束せず、ロシアによるウクライナ侵攻など経済悪化が懸念される中での交渉だったが、日建協は「社会情勢や企業業績よりも、政策によって賃上げの大きな流れがつくられた」と総括。今後も、政府の賃上げ政策やその運用を注視するとともに、足元の物価高にも対応し、日建協が掲げる個別賃金水準の実現に向けて連帯する。