融雪槽や地域密着型雪処理施設を検討へ
札幌市は、2021年度の大雪対応に関わる検証と今後の対策をまとめた。積雪深などに応じた3段階の対策や判断の目安などをそれぞれ明確化。自衛隊や道路管理者、バス事業者など関係機関との協力体制を強化するほか、融雪槽や地域密着型雪処理施設の整備を検討する。今シーズンから取り組む。23日の市議会建設委員会で示した。
昨シーズンの検証を踏まえ、今後は幹線道路の除排雪作業で道路状況や降雪予報を基に運搬排雪を前倒しし、大雪時はパートナーシップ排雪を中止する。雪堆積場の拡充を図るほか、あらかじめ関係機関との協力体制を構築。市雪害対策実施本部などで自衛隊からの連絡員と情報共有を強化する。
加えて、熱源や適地を選定した上で、下水処理水などの熱を利用する融雪槽や、下水道管に投雪して融雪する地域密着型雪処理施設の整備を検討。除雪機械の整備計画を見直し、運搬排雪や拡幅除雪で使用する大型ロータリーを今後5年間で10台増強する方針だ。 今シーズンからの主な対策として、積雪深や気象状況、排雪の進捗などフェーズごとの対策を明示した。フェーズ1は「大雪に備えた早期対応・作業強化」、フェーズ2は「局地的な大雪に対応する応援等による体制強化」、フェーズ3は「全市的な大雪に対応する生活道路の緊急排雪」と設定。市雪害対策実施本部を設置して本部長の指示の下、各対策に当たる。
フェーズ1は積雪深が50cmに達するか、今後達すると見込まれる場合に判断する。幹線道路の運搬排雪と融雪施設の稼働開始時期、パートナーシップ排雪の前倒しを検討する。
一部の区でパートナーシップ排雪の着手か完了が例年より遅れる見込みの場合、フェーズ2に入る。他区のマルチ構成員による応援を導入し、関係団体への支援を要請することに加え、緊急用雪堆積場の開設、他道路管理者と雪堆積場を相互利用する。
最も深刻なフェーズ3は、半数以上の区でフェーズ2に入った場合に移行。パートナーシップ排雪を中止し、生活道路を緊急車両やごみ収集車両が走行できる幅を確保する「幹」と、圧雪で車両の走行に支障がない程度とする「枝」に分けて緊急排雪する。
また、河川敷地雪堆積場のかさ上げや緊急用雪堆積場の増設などを進めることを盛り込んだ。