将来見据え「中身」と「実行力」を
若手後継者「アトツギ」の新たな挑戦を促進―。北海道経済産業局は7日、北見市内のKITAMI BASEで「アトツギ交流会in北見」を開催した。オホーツク管内企業の経営者や後継者らオンラインを含め約90人が参加。事業承継した先輩経営者の苦労話や新たな挑戦例の紹介、参加者同士によるワークショップなどを通じて事業承継の在り方を考えた。
前半は渡辺組(本社・遠軽)の渡辺勇喜社長、山上木工(同・津別)の山上裕一朗専務が登壇し、自身の経験談を交えながら、事業承継のポイントなどについて説明した。
渡辺社長は北大経済学部を卒業後、全日本空輸(ANA)での勤務を経て2018年に渡辺組に入社。20年に社長に就任した。総合建設業を柱として、トレーラーハウス事業といった新たな取り組みや、山林保全、エゾシカ肉加工など地域の課題解決につながる事業をグループ各社で展開している。
経営のバトンタッチに当たり、仕事のやり方や人間関係など多くの戸惑いを感じたと心境を明かしながら、「〝郷に入っては郷に従え〟が重要な考え方だ。これまで先代が積み上げてきた延長線上に、社内外と信頼関係を築きながら自分の色を出していく必要がある」とアドバイスした。
また、自分の10年先、20年先の将来像をイメージすることが大切であると指摘。「人口減少が進み、厳しい時代になると予想されるが、会社にとって大切なのは〝中身〟と〝実行力〟だ。地元経済への貢献や地域課題の解決に向け、自分の住んでいるまちに、どのような事業が必要なのかをしっかりと考え、経営に取り組む」と決意を語った。
山上専務は芝浦工大を卒業後、DMG森精機での勤務を経て、13年に初代社長の祖父が創業した木製家具製造業の山上木工に入社。14年から現職。3代目という将来的な事業承継を見据える立場から、新規事業や大切にしている考え方などを伝えた。
現社長の父親とは、仕事上で衝突することもあるという。「けんかは熱量と熱量とのぶつかり合いで、会社が発展するきっかけだと考えている」と強調。また、「先輩社員とうまくやるには、皆がやらないような仕事を率先して実行する姿を見せることも必要なのではないか」と話した。
加えて、「先人が残してくれたベースがあるからこそ、自分は新しいことに思いっきりチャレンジできていると感じる」と話し、地域の魅力を発信しながら商品の付加価値を高め、今後もチャレンジを続ける考えを示した。
後半は会場参加者がグループに分かれワークショップを実施し、これからの挑戦に向けた課題を可視化して方策案を考えた。