熊谷組は2日、共同体(JV)で施工している北海道新幹線新函館北斗―札幌間整備のトンネル工事で、コンクリート品質管理試験の結果を虚偽報告していたと発表した。コンクリート内の水分量検査と、柔らかさを測るスランプ検査で、発注者の鉄道・運輸機構と決めた頻度や箇所数を守っていなかった。現場はニセコ町内にある延長4221mの羊蹄トンネル有島工区。機構側と熊谷JVは構造物の品質や工程への影響を調査中としている。
2019年2月―25年3月の工期で、熊谷・不動テトラ・宮坂・橋本川島JVが施工中だ。検査対象はトンネル内部の覆工と下部のコンクリート。水量試験はコンクリート打設前に1回と、打設開始後50m3ごとにすべきだったが、打設前の1回しかしていなかった。スランプ試験は工区内のブロックごとに3カ所で試験するところを1カ所で済ませていた。熊谷JVはどちらも所定の条件で実施したと報告していた。
熊谷組によると、虚偽報告は22年10月に始まった。原因は「試験員が手薄で所定の打設数量時の試験に来られないことがあった」ためとしている。ことし4月20日に機構側の現場立ち会いで不正が発覚。24日に熊谷JVが事実を認めて報告した。
機構は他の工区でも現状を確認中で、関係業者に注意喚起したという。熊谷JVへの対応については「調査結果などを踏まえて今後検討する」とコメント。熊谷組は「事態の重大さを痛感し、再発防止策を講じるとともにコンプライアンス教育を再徹底する」と発表した。