指定範囲拡張も
環境省は13日、日高山脈襟裳国定公園を2024年中に国立公園へ昇格する手続きを進めると発表した。現在の国定公園区域から指定範囲拡張を見込んでいて、今後は地権者や道、市町村といった関係機関と指定区域の調整などを進める。昇格となれば、道内の国立公園は7カ所となる。
同公園は日高管内7町と十勝管内6市町村にまたがり、総面積は国定公園で最大の10万3447haを誇る。氷河期に形成された半円状の谷地形「カール」やアポイ岳の固有植物など特徴的な自然が認められ、1981年に国定公園に指定。10年に国立公園指定候補地となっている。
地元首長らは期成会や町村会を通じ国立公園昇格の機運を醸成。地元NPOや自治体もシンポジウムを開くなどして住民の理解促進に努めてきた。
一部の地元建設業者は国立公園化を見据え登山ルート新設や保護官事務所増築を提案するなど、ハード整備を通して盛り上げる姿勢だ。
一方、国立公園となることで開発行為の規制が厳しくなる区域もある。さらに、原生の生態系が残っていることから新たに指定区域となる範囲も相当程度見込まれていることから、環境省北海道地方環境事務所が中心となり関係者との調整を進める。
道環境生活部自然環境課の遠藤浩自然公園担当課長は「国定公園から国立公園に指定されるということは、この価値が認められたということ。これはとてもうれしく、地域の願いがかなうことにもなり喜ばしい」とコメント。北海道地方環境事務所の番匠克二所長は「24年内の指定に向けて手続きを進める」と話している。