次世代半導体工場本道進出 道内建設業への影響考察
北海道建設業協会の栗田悟副会長らは5月25―27日の3日間、熊本県菊陽町内で進む台湾の半導体メーカー、TSMCの工場建設現場を視察した。千歳市内で進むラピダス(本社・東京)の次世代半導体製造拠点建設による道内建設業への影響を推定するのが目的。栗田副会長は「作業員は全て県外から賄われていたが、生コンは県内から調達していた。周辺の公共事業はすぐには始まらないようだ」と現状を話した。
栗田副会長、札幌建設業協会の玉川裕一理事ら3人が同現場はじめ熊本県建設業協会、熊本県の大津町企業振興課、菊陽町商工振興課を訪れた。
作業員5500人規模で12月の完成を目指し24時間体制で作業していた。熊本県外の九州エリアから3割、大阪、名古屋、北陸、四国から来ている作業員が7割に上る。栗田副会長は「外観はほとんどできていて、内装の工事が進められていた」と振り返る。
生コンは県内の業者から供給を受け、現場での使用は一日当たり1000m³。アジテーターが200台ほど稼動していたという。
近隣には1000人規模が収容可能な宿舎が建てられ、宿舎からマイクロバスによるピストン輸送が行われていた。足りない分はホテルなどを使っている状況だった。
県内の水道が全て地下水で賄われていることもあり、工場の水も全て地下水で賄う方針。稼働後は日量1万2000m³の使用を想定する。うち75%を再利用する方針であるとの説明だった。
近隣自治体では道路の拡幅や上下水道の整備などが計画されているが、進んではいない状況で栗田副会長は「予算確保などはこれからとなるようだ」と話す。
視察の状況は29日に開かれた道建協第3回理事会で報告され、理事からは「労賃が上昇したと聞いているが、高止まりが続くと経営者は困るのではないか」などの意見が出ていたという。
TSMCの工場建設は2021年11月に発表された。ソニーグループが出資し、総投資額は約1兆円。22年の着工、24年末までの生産開始を目指す。約1500人の雇用創出を図る。施工はラピダスと同じ鹿島が担う。TSMCは今月、第2工場の建設も発表した。