三井石油開発
三井石油開発(本社・東京)は、蘭越町内の地熱発電調査現場で発生した蒸気噴出問題に関し、最短で8月下旬までに噴出を止める考えだ。井戸を鉄製のふたで覆い、廃坑とする。ヒ素を含んだ水については、近隣にある別の地熱掘削井戸に圧入する。移送用のパイプラインを月内に完成させる。
10日に開いた住民説明会で示した。同社によると、1日当たりの噴出水量は1800―2000㌔㍑。近隣河川への流出防止措置を取った結果、ヒ素含有水が域内でためられなくなり、周辺の道有林に流出している。バキュームカーで運び出しているが、流出量の一部にとどまる。
含有水の処理に当たっては、現場内に設置した濁水処理装置に凝集剤を注入してヒ素を吸着。処理後の水は、22年に掘削した約1km南側にある井戸(深さ約2500m)にパイプラインで運ぶ。ホースによる仮のパイプラインを15日までに設置し、鋼管を21日までに布設する。
噴出自体は井戸上部を鉄板で覆うとともに、内部に注水して坑底の温度を下げて抑制する。発生が収まった後、セメントを入れて廃坑する。
同社は地下2500―3000mに地熱貯留槽があるとみていた。約200mと浅い場所での蒸気大量噴出は想定外で、防噴装置もまだ設置していなかった。
11日には原田英典社長と瀬戸内貴司地熱事業部長が道庁を訪れ、鈴木直道知事と道場満保健福祉部長に経過と対応を報告した。
鈴木知事は問題解決に向け、蘭越町と連携した連絡会議の速やかな開催を要望。国や道などを交えた会議とし、「定期的に開催する必要があるのではないかと町長からも提案いただいている」と述べた。