蘭越の地熱発電調査現場蒸気噴出は8月にも停止へ

2023年07月12日 13時48分

三井石油開発

 三井石油開発(本社・東京)は、蘭越町内の地熱発電調査現場で発生した蒸気噴出問題に関し、最短で8月下旬までに噴出を止める考えだ。井戸を鉄製のふたで覆い、廃坑とする。ヒ素を含んだ水については、近隣にある別の地熱掘削井戸に圧入する。移送用のパイプラインを月内に完成させる。

対応策などを説明する原田社長(左)

 10日に開いた住民説明会で示した。同社によると、1日当たりの噴出水量は1800―2000㌔㍑。近隣河川への流出防止措置を取った結果、ヒ素含有水が域内でためられなくなり、周辺の道有林に流出している。バキュームカーで運び出しているが、流出量の一部にとどまる。

 含有水の処理に当たっては、現場内に設置した濁水処理装置に凝集剤を注入してヒ素を吸着。処理後の水は、22年に掘削した約1km南側にある井戸(深さ約2500m)にパイプラインで運ぶ。ホースによる仮のパイプラインを15日までに設置し、鋼管を21日までに布設する。

 噴出自体は井戸上部を鉄板で覆うとともに、内部に注水して坑底の温度を下げて抑制する。発生が収まった後、セメントを入れて廃坑する。

 同社は地下2500―3000mに地熱貯留槽があるとみていた。約200mと浅い場所での蒸気大量噴出は想定外で、防噴装置もまだ設置していなかった。

 11日には原田英典社長と瀬戸内貴司地熱事業部長が道庁を訪れ、鈴木直道知事と道場満保健福祉部長に経過と対応を報告した。

 鈴木知事は問題解決に向け、蘭越町と連携した連絡会議の速やかな開催を要望。国や道などを交えた会議とし、「定期的に開催する必要があるのではないかと町長からも提案いただいている」と述べた。


関連キーワード: エネルギー 後志

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • web企画
  • オノデラ
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,408)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,234)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,165)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,121)
函館開建が国道5号の常盤川交差部に橋梁新設の可能性...
2024年04月17日 (782)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。