江差町は、再生可能エネルギー施設の整備適地を示すゾーニングマップを2023年度末までに作成する。再エネの導入促進だけでなく、環境保護や住民生活への影響抑制を図る。24年6月ごろに公表し、乱開発を防ぐための将来的な条例制定にもつなげたい考えだ。
町内は日本海沿岸を中心に風況が良く、陸上・洋上風力発電の整備に適性があり、建物屋根や荒廃農地を活用した太陽光発電も可能と見込む。一方、檜山道立自然公園があるほか、オジロワシなどの希少な猛禽類が生息している。環境や景観を適切に維持しつつ、50年までのゼロカーボン達成に向けて再エネ導入を促進するため、ゾーニングマップの作成を決めた。
陸上・洋上風力発電と太陽光発電が対象。陸上風力は、町内で風力発電設置の実績を持つ事業者の協力を得ながら風況をあらためて整理し、開発適地を抽出する。洋上風力は地元漁業者ら、太陽光は農地を活用する場合に農業委員会や農業者とそれぞれ協議しながら区域分けをする。
マップ作成業務は指名型プロポーザル方式で発注。すでに指名を終え、21日に企画提案内容のヒアリングをして最優秀提案者を決める。契約は7月末までに締結する。事業期間は24年2月29日まで。財源に環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助を充てる。
町総務課の伊藤公主幹は「小型風力発電の整備が相次ぐ中、土砂流出などのトラブルが発生していた」と町内の事情を明かす。ガイドラインはあるものの、「町民から再エネ施設の整備に関する町の考え方を問われていた」とマップ作成を決めた経緯を説明。乱開発にならないよう適切な誘導の必要性を指摘する。