札幌市時計台の周辺地権者らは、新たな地区計画の設定による建築物の容積率緩和を目指している。時計台の展望スペースや歩行・滞留空間の設置で最大1200%に引き上げられるよう市に提案。9月の都市計画審議会への諮問で同意を得られれば、市は都市計画決定をして2024年早期に運用を始める。
18年、地区内の地権者らがまちづくり勉強会を立ち上げ、20年にガイドラインを定めるなど魅力アップに向けて検討を重ねている。時計台周辺でのにぎわい創出を目指す市はオブザーバーとして参加してきた。
地区計画の範囲は中央区北1条西2丁目、北1条3丁目、大通西3丁目の一部で構成する2・3ha。北海道経済センターや札幌時計台ビル、時計台、MNビル、道新ビル、北海道新聞社ビルが立ち、市役所本庁舎は含まない。用途は商業地域で容積率800%、建ぺい率80%となっている。
容積率緩和の条件として、時計台展望スペースや歩行者用屋内敷地貫通通路の設置、地下歩道との接続、1階部分での滞留区間や商業機能の導入などを挙げる。ハイグレードホテルや高機能オフィスの整備、脱炭素化の取り組みも対象とする。
特に時計台ビルと南側広場の範囲は「時計台隣接街区」と定め、広場の維持を必須とする。時計台を訪れる観光客が歩道で滞留しているため、広場の維持整備で新たなにぎわいの場を形成したい考えだ。
道路境界線から建物壁面までの距離は最低限度を新たに設ける。原則として1―3mとするが、大通に面して高さ60mを超える部分は最低12m。建物の高さは最高100mとする。
建物の用途は新たな制限を設定。共同住宅や病院、老人ホームの建設を不可とする方針だ。
市は25日の都計審で事前説明する。