室蘭市、伊達市など6市町で構成する西いぶり広域連合は、検討していた火葬場の共同整備を白紙撤回した。室蘭市は単独での建て替えや改修などを構想。伊達市は壮瞥町のほか洞爺湖、豊浦の両町にも呼び掛け、4市町合同での整備を目指す。
6市町はそれぞれ自前の火葬場を持つ。このうち登別市は単独で建て替えたが、他の市町はいずれも老朽化が進み、将来的な対応が必要な状況となっている。
それぞれが単独で整備するよりも建設費、維持管理費とも抑制することができるとして2011年9月に室蘭市が共同での調査研究を提案。合併特例債を使える伊達市を加え、壮瞥町を含む2市1町が中心となって話し合いを進めてきた。
広域連合では、この3市町の火葬場を、室蘭環状線に近くアクセスが良い室蘭市神代町130の1にある室蘭市神代火葬場の敷地内に集約し、苫小牧の施設と同程度の火葬炉7基、延べ約2500m²で新築するという計画原案をまとめ、14年2月の総務常任委員会で報告した経緯がある。建設費は本体12億5000万円、火葬炉2億4500万円と試算していた。
しかし伊達市と壮瞥町では、距離がある室蘭市内の施設を利用しなければならないことに懸念を示す住民の声が多く、ことし8月の広域連合市町協議会で菊谷秀吉伊達市長が共同整備の白紙撤回を申し出た。広域連合はこれを受け、10月の同協議会で共同調査研究終了を決めた。
室蘭市の現施設は1968年に完成。S造とブロック造を組み合わせた構造で、平屋、延べ737m²、火葬炉6基を備えている。市内外含めて年間で1300―1400件程度の利用があり、1日平均4―5件ほど、多いときは8件に上る。
室蘭市は共同整備取りやめを受け、単独での在り方を検討。15年度中に建て替えか改修か、建て替えの場合は敷地をどこにするのかなどを内部で検討し、原案をまとめることにしている。
一方、伊達市上館山町63の10にある伊達市火葬場は、78年に供用。RC造、平屋、延べ約500m²で火葬炉は3基。利用実績は年間100件以上となっている。建て替えは、利便性などを考慮し、現在地を候補に想定する。
整備に向けては壮瞥、洞爺湖、豊浦の3町から負担金を受けて伊達市が単独で建設するほか、3町との一部事務組合方式により道の地域づくり総合交付金を活用するといった手法が考えられる。
伊達市は3町への打診に向け、整備方式案や概算事業費を提示することが必要と認識。いずれの場合も市は合併特例債を財源に充てる意向で、適用期限の20年度を見据えて検討を進める。