札幌市水道局の発注工事で、入札不調が増加している。本年度分工事の早期発注が始まった2月から10月にかけて一般競争で入札した373件のうち、不調は43件と前年度同期の2・3倍に上った。背景には、交通誘導員や配管工といった下請け全体の人員確保が困難など、顕在化する人手不足という課題があると業界関係者は話している。
10月末時点で、一般競争の発注件数は前年度同期に比べ17件の増加。うち不調が占める割合は11.5%で、6.2ポイント上昇した。
月別の推移を見ると、2―6月は最大でも2件と低水準で推移していたが、7月は10件、8、9月は11件ずつ、10月は4件と急増している。
前年度も7月まで1件もしくはゼロという状況だったが、8月4件、9月9件、10月3件と増加。これを踏まえ、同局ではことし2―3月の早期発注分を51件と前年度から9件増やした。
だが「前年は8月から不調が目立ったが、ことしは早期発注を増やしたことで、前年よりも早い時期から表れた」(同局総務部担当者)という結果に終わった。
管B等級が半数
不調の等級別内訳を見ると、約半数に当たる21件を250万円以上1500万円未満が対象となる管B等級の工事が占めている。
管B等級企業のある経営者は「警備員など下請け作業員全般の人手不足という状態がある」と指摘。また管A等級企業の経営者も業界全体が人手不足であることに加え「人材の高齢化が深刻」と危惧する。
別の管B等級企業経営者は「ことしの早期発注は土木Aクラスの発注が多い印象。春先に出たそちらの工事の下請けに回ったことで、後半に発注があった管B等級の工事に参加できなかったのでは」と分析する。
同局給水部の担当者は「夏以降は配管工や警備員の確保が困難な見込みで、入札に参加しないケースがあるという声も聞いた」と明かす。
今後の年度末に向けては不調が増加する可能性は低いとみているものの、「計画に沿った事業進ちょくを実現できるよう、動向を注視したい」と慎重な姿勢を見せている。