北海道初のゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)100%を実現する、アリガプランニング(本社・札幌)の新社屋が完成した。グループ会社の有我工業所(同・上富良野)と培ってきた地中熱による冷暖房・融雪技術でエネルギーを大幅削減。太陽光発電と、随所に取り入れた高効率設備システムの導入で、全国でも事例の少ない1次エネルギーの100%自給自足を達成した。20日に現地で関係者向けの内覧会を開く。
札幌市中央区南10条西12丁目に完成した新社屋はS造、4階、延べ644m²。
省エネの要は、建物の下にある。環境省の実証事業として採用された同社の地中熱ヒートポンプシステムだ。地下約100mのボアホールに埋めた地中熱交換器で採熱し、CO排出量を大幅に抑えながら、年間冷暖房コストを削減する。
併せて、駐車場と社屋前の歩道にはヒートパイプ融雪を導入。地中に埋めた真空管内の作動液が液化と蒸発を繰り返し、路面下に張り巡らせたヒートパイプ内を巡回して雪を溶かす同社の独自技術。融雪エネルギーは全て地中熱で賄うため、電気や石油が不要で、ランニングコストがかからない。
建設前に約9カ月かけて深さ22mに675㍉間隔で開けたボアホール300本は、同社の高い技術力のたまもの。
室内にも省エネへの配慮を凝らした。開口部が一切ない窓はLow―E真空ガラスを採用し、南面の日射を取得しながら外皮性能を高めた。照明設備は全館LEDとし、明るさや人感センサーによる照明・空調制御を取り入れ、BEMS(ビルエネルギー管理システム)も導入した。
この結果、空調は基準値の半分、照明・換気は3分の1まで抑えることに成功。屋上と壁面に合わせて176枚設置した太陽光パネルは約50㌔㍗まで発電でき、残りのエネルギーを相殺してZEBを達成した。
有我充人社長は「地中熱システムの効果も、来ていただければ一目で伝わる。道内でのZEB導入のモデルになれば」と期待を寄せている。