旭川市は、6月中の成案化を目指していた新庁舎建設基本設計について、2カ月ほど時期が遅れるとの見通しを示した。ただ、来年度の建設着工時期に影響を及ぼさないようこれまで通り2019年度半ばの着工を目指す方針だ。20、21日の第2回定例市議会で、安田佳正氏(自民党・市民会議)と石川厚子氏(共産党)の一般質問に、西川将人市長と中野利也庁舎建設担当部長が答えた。
低層階の在り方などを巡り、より慎重に基本設計を進めていくべきとする安田氏に対し、西川市長は、現在の庁舎は耐震性能が不足し分散化や狭あい化により市民に不便を掛けており、20年度末に期限を迎える国の市町村役場機能緊急保全事業債といった有利な起債を最大限活用する努力も必要と早期着工を目指す考えを伝えた。
しかし「基本設計案に対する説明不足という意見も出されている。多くの市民に親しまれる庁舎となるためには慎重な検討が必要」とし、「基本設計はこれまで6月中の決定を目指してきたが、この時期にこだわることなく市民に説明する機会を設け、理解していただく取り組みを進める」と応じた。
基本設計の取りまとめ時期を尋ねた石川氏に対し、中野部長は「市民への説明機会を設けることも検討している。現時点で明確な時期は示せない」と前置きした上で、「説明資料の作成や周知を図る時間に2カ月程度要する」とし、2カ月ほど遅れる見通しを示した。
また、安田氏は、宇都宮市や釧路市が立地適正化計画に基づき、大規模集客施設などを中心市街地に整備する場合の補助金制度を設けていることを取り上げ、市の見解を求めた。
菅野直行地域振興部長は、中心部に空き店舗や空き地が目立ち、店舗の老朽化が進んでいることが課題で「土地の用途変更など民間投資を促す取り組みを早急に進めるべき」との認識を示した。
その上で「西武旭川店跡地は市の顔となる場所なので、中心市街地活性につながるよう事業者と協議を進めているが、事業者からは建設費の高騰で賃料が高くなり、テナントが集まりにくい状況になることから、建設費に関する要望も伺っている」と述べ、「他都市の例も参考にしながら都心部のにぎわい創出に向け、交流につながる施設の誘導策を早急に検討していく」と答えた。