札幌開建は、空知川南富良野町幾寅地区で取り組んでいる地域連携防災事業を2019年度から本格化させる。16年8月に起きた台風による洪水で甚大な被害を受けた同地区の水防能力のさらなる強化を図る事業で、河道掘削や堤防拡幅などを計画。河道掘削は18年度から一部着工しているが、堤防拡幅は来年度から取り掛かる予定だ。このほか、緊急復旧用の資材などを備蓄する河川防災ステーションの整備も構想している。
16年8月の台風災害を受け、空知川を所管する札幌開建はことし3月、空知川河川整備計画を変更した。これまで目標流量の設定がなかった金山ダム上流部分について、戦後最大規模の洪水となった16年8月の洪水流量を基準に新たに目標流量を毎秒1400m³と設定。必要な流下能力確保や目標流量が流下した場合の被害軽減に向け、地域連携防災事業を進めることとした。
対象区間は町道落合線大勝橋付近から道道金山幾寅停線伊勢橋に至る国管理区間の2・4㌔。16年8月の災害ではこの区間のうち大勝橋と38号太平橋の間の左岸の堤防2カ所が破堤し、浸水面積130ha、浸水家屋160戸という被害が発生した。
事業の柱は河道掘削のほか、堤防強度を高めるための拡幅盛り土、無堤区間の堤防新設など。河川防災ステーションも整備する。
河道掘削は、2㌔程度の区間が対象。地域連携防災事業で取り組む部分は本年度に一部着工しており、日成建設が太平橋に近い地点の延長320mを8月8日から11月19日までの工期で施工中。掘削量は1万800m³を見込んでいる。19年度以降も引き続き施工する考えで、イトウの稚魚が休める岩場の形成など環境保全にも努める。
左岸で実施する堤防拡幅盛り土は、堤防の高さを変えずに強度を高めるのが目的で、2・2㌔区間の整備を19年度から進める計画。具体的な拡幅幅や盛り土量などは検討中だが、護岸ブロックや天端舗装なども併用し総合的に能力向上を図る。
堤防を新設するのは太平橋付近の左岸側0・7㌔。16年の災害では、左岸側に堤防がなかったことから農地への浸水被害が発生した。堤防幅など具体的な規模は今後の検討を踏まえて固め、19年度以降の着工を目指す。
河川防災ステーションは、ブロックや矢板、土砂などを備蓄する災害復旧の拠点となる施設。平時には防災教育や啓発活動の拠点としての活用も見込む。整備候補地については町と協議の上で決める。
これに付随して町内の道路をかさ上げし、災害時に水をせき止める役割を担う防災連続盛り土も構想。具体的な路線は町などと今後協議を進めていく。