AIや画像解析活用で安全具の劣化状況検出 スマホ活用も

2018年10月30日 12時00分

 ICT技術や人工知能(AI)を活用したインフラ維持管理の効率化が注目されている。このほど決定した国の新たな成長戦略の一つに「次世代インフラ」が掲げられた。ソフトウェア開発のSAYコンピュータ(本社・茨城県ひたちなか市)は、スマートフォンで鉄筋やパイプの束を撮影するだけで数を自動でカウントできる「Eye―Count」を開発。コムシス情報システム(同・東京)は、安全具の装着状況やさびなどの設備劣化の検出にAIを活用している。最新のソリューションを紹介する。

 SAYコンピュータのEye―Countは、画像解析を活用した自動カウントシステム。鉄筋や鋼材をスマホで撮影すると、画像がクラウドに送られ、瞬時に解析結果を送り返す仕組みだ。角材や丸パイプなど断面が対照的な形状で、束が同一のものであればカウントできる。

鉄筋の束をスマホで撮影すれば、瞬時に数が分かる自動カウントシステム

 2016年に発売。特に最近は、卸業や製造業からの問い合わせが後を絶たないという。志賀利行社長は「出荷時の状況が画像で証拠として残るのも特徴」と利点を話す。今後は、AIを活用して画像内の背景がカウントに影響しないよう改良を加える。

 コムシス情報システムは、17年にAI専門部署を発足。つうけん(本社・札幌)などグループ会社の通信建設業の経験を生かしたAI点検ソリューションの開発を進めている。現場作業者が撮影した施工写真を写真検査センターに送り、AIで仕上がりや作業の見落としなどを確認するシステムの確立を目指す。現在は、現場画像のピントや構図が検査に有効な状態かどうかをAIで判断する技術を検証している。

 安全点検で、ハーネスなどの安全具の装着状況をAIでチェックし、不適切な装着や安全具の不良を検知。設備点検では、さびなどの劣化部分を検出し、状況を数値化する技術などの開発を進めている。

 上島顕事業開発室長は「最後は人の確認だが、安全のためにAIで気付きを補助できればいい。鉄塔などでの高所作業も、あらかじめさびが確認できれば、事故のリスクを減らせる」と意気込んでいる。

 無線通信やセキュリティ関連ソフトを強みとするsMedio(本社・東京)は、西松建設と共同で「山岳トンネルAIソリューション」を開発。山岳トンネル工事での穿孔(せんこう)・装薬、発破、ずり搬出、吹き付け、ロックボルト装填(そうてん)の5工程をカメラ映像からAIで自動判定する。

 現場の掘削サイクル見直しによる施工パフォーマンスの向上や、坑内設備の最適運転による環境負荷の低減などに役立つ。

 岩本定則社長は「画像に映るものを全て判別できるので、掘削した断面の状態や、トラッキングした重機と作業員の安全管理まで広げられるよう研究を進めている」と話している。


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