週休2日制試行工事拡大
若年者の入職促進や生産性向上を主眼に建設業を取り巻く働き方改革の取り組みが加速した1年だった。特に、5年後の時間外労働上限規制を見据えた週休2日制の試行工事は2017年度に比べ大幅に拡大。一方で、業界からは適正な工期や工事書類の簡素化、日給月給を基本とする技能労働者の給与確保を求める声も上がっており、19年度以降も建設業の最重点課題となるだろう。
安倍政権が16年に打ち出した働き方改革に基づき、国土交通省も18年3月に「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定。長時間労働の是正や給与・社会保険、生産性向上の3分野を重点対策とすることを掲げた。
中でも長らく建設業の課題であった長時間労働是正には、週休2日制試行工事というメスが入った。北海道開発局が17年度に試行した週休2日制工事は10件程度だったが、18年度からは原則化され、9月末時点で発注者指定・受注者希望合わせて767件で実施が決まった。直接工事費への経費補正や休日取得に応じた段階的評価、工事成績評定での加点などのインセンティブも功を奏して大幅な広がりを見せる。念頭にあるのは、24年4月からの時間外労働上限規制だ。
■積雪寒冷地に厳しい残業規制
積雪寒冷地である北海道の建設工事の実態を考えると、9月から12月は工事の追い込み期に入り時間外労働が長くなる傾向にある。北海道建設業協会では「この4カ月間の上限規制は大変厳しい」と受け止めていて、「積雪寒冷地への緩和措置も必要」と訴える。
特に、除排雪業務は地域の生活や経済活動に必須の事業だが、出動時間は天候に左右される。除排雪業務にとって平均80時間という上限は「建設工事より更に厳しい」とみていて、「積雪寒冷地の除排雪の実態を十分調査した上で、法施行を考えてもらいたい」との方針だ。
いずれにしろ、人手不足といった課題解決や労働条件の改善に向け、道建協としては「基本的な方向として時間外労働の抑制や週休2日導入の実現に向けて真剣に取り組んでいかなければならない」とのスタンス。国や道が実施している週休2日導入モデル工事への参加や、施工時期の平準化、さらには書類の簡素化などを実施していく中で、「具体的な問題点や改善方策も見えてくると思う。それらについて関係者が共通の認識を持ち、相互理解の下、協力しながら実現に努めていきたい」との考えだ。
24年4月以降、月平均80時間以上は罰則が科される。業界関係者も「将来的にはブラック業界扱いされるかもしれない」と危機意識を募らせ、受発注者双方が週休2日導入にかじを切る一方で、実際の現場からは積雪寒冷地特有の課題も浮かび上がってきた。