バイオマス産業都市の認定を受けた稚内市は、バイオマス産業都市構想の概要を明らかにした。都市構想によると、計画に盛り込んだ増幌、勇知両地区のバイオガスプラント整備は稚内農業協同組合らが事業主体となり、早ければ増幌地区は2019年度、勇知地区は22年度にも実施設計に着手する見通し。建設費には増幌地区が8億2095万円、勇知地区は10億1040万円を試算している。
国はバイオマス活用推進基本法で、市町村バイオマス活用推進計画を策定する努力規定を定めた。バイオマス産業都市構想はバイオマス活用推進基本法に規定される手続きを経ることで、市町村計画とみなすことが可能。これにより、バイオマス産業都市は市町村計画を策定している地域の中でも、より経済的な価値を生み出す高度利用などを活用した先導的モデルに位置付けられるという。
市は構想に、民間事業者による増幌・勇知両地区での家畜ふん尿を活用したバイオガスプラント整備を盛り込んだほか、下水汚泥を燃料化して市内公共施設等のペレットストーブで活用することなどを目指すとしている。
計画によると、増幌地区のバイオガスプラントは380㌔㍗の発電機を設ける見通し。農家6戸から乳牛1300頭分のふん尿を調達し、バイオガス発電で有効活用することを検討。年間3万843㌧の原料から生産が見込まれるガスは年間128万6260m³で、年間269万8445㌔㍗時の発電が可能となっている。建設費には8億2095万円を試算。早ければ19年度にも実施設計に着手し、同年の着工、20年度完成、21年度の運転開始を目指す。
また、勇知地区も380㌔㍗の発電機を持つプラントを想定。農家12戸から乳牛1600頭分のふん尿を調達して発電する計画だ。年間3万7960㌧の原料から年間158万3005m³を生産する予定で、年間332万1135㌔㍗時の発電ができる。建設費には10億1040万円を見込む。22年度にも実施設計に着手し、同年度の着工、23年度完成、24年度運転開始というスケジュールを描いている。
どちらのプラントも稚内農協と農業者らが事業主体となり整備する見通し。このほか、乳牛のふん尿に加え、漁協や水産加工場からの水産加工残さを調達し、バイオガスプラントで活用することも検討中だ。