建物が更新期を迎える札幌の都心まちづくりの実務を14年にわたり担ってきた札幌市の高森義憲まちづくり政策局都心まちづくり推進室長(60)が退職を迎える。札幌創世1・1・1区(さんく)など多くの再開発に携わった。一線での役割は後進に委ねるが、人柄やその経験から第二の人生でも活躍が期待される。
2005年4月に係長職で都心まちづくり部門に配属後、課長、室長と一筋に歩み、まちづくりの骨格形成や、再開発の仕掛けを担ってきた。
これらの功績は市議会も認める。民主市民連合のふじわら広昭会長は3月の市議会予算委員会で、退職を惜しみながら「室長がつくり上げた骨格を役立て、都心再整備を進めてほしい」と賛辞を贈った。
14年前、最初の仕事は、札幌創世1・1・1区の再開発に道筋を付けることだった。
第一歩として、北1西1街区の地権者に働き掛け勉強会を立ち上げた。12年後、そこには都心を象徴するランドマークビル・さっぽろ創世スクエアが開業した。
振り返れば事業参画者の撤退と変遷、経済環境の悪化など厳しい局面もあったが、人とのつながりを大切にし、築いた信頼関係で乗り越え、事業化の道筋を付けた。
人が行き交い、にぎわいを生み出す今の様子に「一番思い出に残る仕事。本当に手掛けてよかった」と実感する。退職後は経験を生かし「民間の側から、まちづくりを下支えしたい」と語り、活躍はこれからも続く。
(2019年3月29日付20面より)