札幌市は2019年度冬季から、市道除排雪に関し各地区の除雪センターに電話で寄せられる市民の要望や意見を、全て録音する方針を固めた。必要に応じて精査し、サービスや対応品質の向上につなげる。市民の電話要望で録音方式を導入するのは全庁で初めて。ここ数年にわたり録音対応を求めていた除排雪事業者側は、トラブル抑制につながればと歓迎している。
札幌市除雪事業協会(乳井文夫会長)が17日、札幌コンベンションセンターで開いた代表者懇談会で、市雪対策室幹部が対応方針として示した。
除排雪に関する電話要望や苦情は、18年度で2万2000件。過去5年平均では1年当たり約2万4000件に達し、多くは24時間運営の除雪センターに寄せられる。
内容が不明確だったり、長時間に及ぶ細かな要求に発展することも多く、「言った」「言わない」のトラブルになる場合があった。このため、除雪センターを運営する除排雪事業者は、対応向上やトラブル抑制に向け、ここ5年ほど、通話の録音対応を求めていた。
18年度は口頭で通告した上で録音する方式を試験導入したが、不満や怒りを持って連絡してくる市民に口頭で説明することは難しく、市は「良い結果にならない」と判断。対応を見直した。
今冬からは受信時に自動メッセージで、通話を録音する旨を通知した上で、センター職員が要望を聞く。録音データは業務利用後、市が個人情報として管理、保管する。
同協会によれば、除雪体制に限界がある中、細かな要求が増えていることに加え「暴言を浴びせられることもあり、対応者の精神的負担が増していた」という。
乳井会長は「録音対応が、トラブル軽減につながることを期待したい」と話していた。
(北海道建設新聞2019年6月18日付12面より)