帯広信用金庫は、中小企業における人手不足の状況と働き方改革に関する特別調査の結果をまとめた。現在の人手に関する設問では、全体の56%が「不足」と回答。人手が不足していると答える割合はここ10年で倍増しており、各企業が人材確保に苦慮している現状がうかがえる。このほか、十勝では高齢者の採用拡大を目指す企業が全国や全道に比べても高いことが分かった。
調査は管内368社に実施(回答率98.1%)。6月初旬に信金職員が企業にヒアリングした。
現在の人手については全体の56%が「不足」、43%が「適正」、1%が「過剰」と回答した。建設業・不動産では67%が「不足」と答え、うち62%が現場作業関係の人員が不足していると認識。同じ質問は2012年にもしており「不足」を示す割合は2倍以上に増えた。
女性・高齢者・外国人の活用について、十勝はいずれの人材も「増やす方針」が全国や道内の割合を上回った。特に高齢者は全国の18%、全道の25%に比べ31%と高くなっている。また高齢者の活躍が女性の活躍を上回るという全国、全道とは真逆の傾向を示した。
建設業では高齢者と外国人の項目で平均を上回る割合を示した。信金では免許や資格などの都合から新人よりも経験のある高齢者の需要が高いとみている。
外国人労働者では「採用していない」が92%を占めた。理由はメリットを感じない、手続きなどの情報不足でよく分からないといった声が多い。人手不足に悩む現場作業関係でも「外国人を雇用するほどではない」という意見が見られた。
働き方改革に関しては、時間外労働の上限規制と有給休暇5日取得義務化の影響を調査。55%が「影響を受ける」と回答し、建設業をはじめ全体が「従業員の処遇改善」「勤怠管理の徹底」の面で影響があると考えている。
賃金アップと生産性向上、長時間労働是正に取り組む企業が多い半面、「何をすればよいのか分からない」という回答も28%あり、同信金は「関係機関や団体からの一層分かりやすい情報提供が必要だ」と指摘している。