技能実習生からの移行 ベトナムの2人、再び旭川の地に
岸田組(本社・旭川)は、特定技能1号の在留資格を取得したベトナム人男性2人を受け入れた。技能実習生からの移行で、職種は型枠施工。10月28日から現場作業に入った。建設分野の特定技能外国人としては、道内初となる。(旭川支社・相良 知宏記者)
国土交通省から建設分野で特定技能外国人を受け入れるために必要な「建設特定技能受入計画」の認定を9月5日付、札幌出入国在留管理局から在留資格の認定を10月2日付でそれぞれ受けた。23日、2人は新千歳空港に降り立った。
来日したのはグェン・チョン・ナムさん(37)とグェン・コック・クアンさん(26)。ナムさんは2015年4月、クアンさんは16年4月から3年間、技能実習生として岸田組で働いていた。
実習期間を終えて帰国したものの、日本とベトナムの安全管理、施工技術の差は大きく、身に付けた技術を生かす機会はない状況で、2人とも再び日本で働きたいと考えていたという。
一方の岸田組は、建設業の人材・担い手不足により、15年から外国人技能実習生受け入れを開始。これまでに11人が同社で施工技術を学び、現在は技能実習生6人のほかナムさん、クワンさんの計8人が在籍している。
技能実習制度の在留期間は最長3年なのに対し、特定技能1号は5年、2号は無制限となっている。米嶋均社長は「日本で働きたいという本人の意向と、長くこちらで活躍してほしいという会社の思いを実現させることができる。技能実習を終えているので、即戦力にもなる」と特定技能外国人制度のメリットをそう話す。
2人の受け入れに向け、同社は6月上旬から準備を始めた。スタートしたばかりの制度なので、国交省や入管に聞きながら受入計画を策定し、期間は5カ月にも及んだ。
「岸田組がとても良い会社だったから戻ってきたかった」と話すナムさん。いずれベトナムに残してきた妻と2人の子どもを呼び寄せるという夢も抱いている。クアンさんも「やりたいことがいっぱいある。たくさん稼ぎたい」と2度目となる日本での生活に目を輝かせる。
今後は、特定技能2号への移行も視野に入れ、現在取得している資格等級よりも上位の技能検定受験とさらなる日本語の習得に励む。
これまで技能実習生の面倒を見てきた長谷川義晃土木部永山事業所長は「受け入れ初期にいた2人が戻ってきたことは感慨深い。2人が加わることで後輩たちには刺激になる。先輩として見本を示していってほしい」と話し、米嶋社長も「彼らは本当に真面目。まずは5年間しっかり働き、日本人並みの活躍を」と大きな期待を寄せている。
(北海道建設新聞2019年11月1日付1面より)