本道企業の多くが仕事始めを迎えた6日、各社トップが社員らに向けて年頭訓示した。働き手不足を受け、生産性の向上を掲げる内容が目立った。
岩田地崎建設の岩田圭剛社長は、昨年を「緩やかな景気拡大という基調の1年だった」と振り返り、大規模災害が頻発している状況を踏まえ「自然災害から市民の生命と財産を守る、またインフラ強靱(きょうじん)化を支える建設業の使命が広く国民に認識されてきた」と指摘した。
ことしは東京五輪などで日本が世界から注目されるとしながら、人手不足が懸念されることから「あらゆる部門の生産性向上が必要で、IoT、AIなどを駆使しながらi―Constructionをさらに進めていかなければならない」と強調。その上で、年間のキーワードとして「仕事や手順を見直しながら物事をさらに進化させ、掘り下げ深化していく」の意味を持つ「進化深化」を掲げた。
北洋銀行では、午前8時40分から本店ビル内で開かれた新年交礼会に幹部ら約350人が参加。安田光春頭取は道内経済について「4年連続のプラス成長となる見込みで、緩やかな回復基調を維持する」と予測した一方、「北海道は全国より急速に人口減が進むなど地域銀行にとって厳しい経営環境が続く」と指摘。さらに「他業種の参入が相次いでいることなどから、新たなビジネスモデルを確立する必要がある」と危機感を訴えた。
安田頭取は昨年起こった同行員による情報漏えいに言及し、重点的な取り組みとして①コンプライアンスの再徹底②顧客との信頼関係強化による収益力向上③生産性アップに向けた一層の業務効率化―を挙げた。
北海道銀行の笹原晶博頭取は役職員向けのあいさつで、昨年を「低金利環境継続に加えて与信コストが全国的に増加基調に転じ、銀行業界にとって厳しさが増す1年だった」と回顧。ただ、こうした情勢が続く中でも、地域を支える企業をサポートすることで雇用を守り、経済規模の維持につなげることができると説いた。また、人口減少と少子高齢化、デジタル技術の発展に触れ、「変化に適格に対応しなければならない」と強調した。
北海道電力の藤井裕社長は「事業環境はさらに大きく変化することが予想されるが、新たな10年に果敢に取り組む年にしたい」と述べ、都市ガスや再生可能エネルギーといった事業領域の拡大に意欲を示した。泊原子力発電所について「早期再稼働に向けて残された課題の全てを一つ一つクリアしていく」とした。
カナモトの金本哲男社長は、北海道の本社社員のほか、テレビで東北、関東甲信越、西日本、九州の各地区スタッフに向けて訓示。2019年まで進めてきた長期5カ年計画「BULL(ブル)55」に関し、おおむね目標を達成できたことにねぎらいの言葉を述べ、「20年は新中期経営計画〝Creative 60〟スタートの年。新たな目標に向かって頑張ろう」と呼び掛けた。
(北海道建設新聞2020年1月7日付2面より)