17日にも推進協設立 技術的課題や採算性など協議へ
函館市は地域の漁業持続に向け、サーモンをはじめとした魚介類の養殖事業の確立を目指し議論を本格化させる。17日にも函館市魚類等養殖推進協議会を設立し、技術的課題や採算性などについて関係者や学識者を交えて話し合い、実現の可能性を探る考えだ。
協議会は事務局の函館市のほか、函館開建、渡島総合局、渡島地区水産技術普及指導所、北大大学院水産科学研究院、函館国際水産・海洋都市推進機構、道立総合研究機構函館水産試験場、市内の漁協など12者で構成する。
会合は年4回程度の開催を見込み、養殖の実現に向け、環境整備や事業を継続する上での課題解決の方法を探る。
養殖対象は生食用のサーモンやウニ、アワビなど需要が高く高収益が見込める魚介類を想定。安定的に漁獲量を確保し、天然資源への依存度を抑え将来にわたって持続可能な漁業の確立を目指す考えだ。
漁業は函館にとって、水産加工業や飲食・宿泊業といった2次、3次産業を支える基幹産業。しかし、漁獲が気象条件に左右されるなど将来の見通しが厳しく、漁業者の減少を招いている。
近年のイカやサケの不漁、漁船の燃料費高騰なども減少に拍車を掛けていて、市はイカ釣り漁船への燃料費補助など支援を続ける。しかし、今後控える改正漁業法の施行による漁獲可能量への影響も懸念される。
市農林水産部は「市の生命線である漁業が衰退すれば、他の産業にも影響が及ぶ。10年先を見据えた対策が必要」と協議会設置の意図を説明する。
想定される課題として「海流が速い函館湾内にいけすを設置する場合、流されないような工夫が必要。陸上に養殖場を設置するとすれば、海水の循環装置の維持管理に多大なコストがかかる」と指摘する。
その上で「技術的課題をクリアしたとしても、採算性を確保し事業として成り立たなければ意味がない。一つずつ解決策を話し合いたい」としている。
(北海道建設新聞2020年1月10日付11面より)