新型コロナ 原油相場にも影響
3月の道内ガソリン価格は、石油元売りによる特約・販売店向け卸価格の大幅値下がりを受けて、中旬から急落した。新型コロナウイルスの影響が刻々と広がる中、世界経済の後退懸念から原油相場が急落したためだ。札幌市内は1㍑当たり120円台前半が中心。激戦区の函館や旭川では110円台の安値も散見される。軽油は2017年11月以来の110円台乗せ。灯油はシーズン終盤で軟化傾向が強まり、全道平均の配達価格は88・9円と前週より7円ほど下落した。
新型コロナウイルス感染症を背景とした世界経済の後退懸念から原油相場は続落している。2月下旬は1当たり45㌦を割り込むほどだったが、3月に入って急降下。OPECプラスによる6日の合同会合でロシアが追加減産を反対し、協議が決裂。サウジアラビアが増産姿勢を示したことで、市場が大きく反応した。
主要産油国による安値競争が取りざたされ、9日は1991年の湾岸戦争開戦時以来の下げ幅24%を記録。17日は米国株価が過去最大の下げ幅となり、ニューヨーク原油の4月限終値は26㌦台まで落ちた。足元、アジアの指標となる中東産ドバイ原油は30㌦前後で推移。対ドルの為替相場は107円ほどで動いている。
原油相場が20㌦余り下落したため、石油元売りの原油調達コストは大きく下がった。特約・販売店向けの卸価格は、3月第1週が4円、第2週は4―4・5円、第3週8・5―9円と値下がりが進んだ。
卸価格の下落を受けて、ガソリンスタンドの販売価格も値下げが広がった。札幌市内は3月上旬こそ140円台が大勢だったが、中旬から値下がりし足元では120円台前半の価格看板を掲げる店舗が目立つ。販売激戦区の函館や旭川では110円台後半の安値も散見される。
資源エネルギー庁によると、23日現在の道内レギュラーガソリン平均価格は134・1円で、前週比7・3円値下がりした。3月に入ってからの下げ幅は12・6円。軽油は117・5円で7・3円下落し、おおよそ2年4カ月ぶりの110円台入りとなった。
灯油は、シーズン終盤のため軟化傾向を強めている。23日現在の全道平均価格は店頭売りが1㍑当たり86・8円で6・8円値下がりし、配達売りは88・9円で6・9円下がった。今後は、コープさっぽろが定期配達価格を23日受注分から全道一律で9円値下げしたため、もう一段の市況下落が予想される。
札幌市内の灯油販売業者は「本格的なシーズンは終わったが、ここ最近の新型肺炎による外出制限の影響もあって、注文は絶えない。家にいる時間が長くなり、灯油の消費が増えているためだろう。思わぬ特需だ」と話している。
(北海道建設新聞2020年3月30日付2面より)