反発必至で合意形成難航か
原子力発電所の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分地について、寿都町が文献調査への応募を検討している。交付金による町財政改善を理由として挙げ、意見交換会や住民説明会を経て、9月中に方針を決める。町内をはじめ、道や近隣自治体からは反発の声が上がっており、合意形成は難航するとみられる。
文献調査は、3段階ある最終処分地選定作業の第1段階に当たり、調査対象地域の地質調査に関する論文や報告書などを収集・分析するもの。期間は約2カ年で、調査が始まると最大20億円の交付金を受けられる。概要調査(約4カ年)、精密調査(約14カ年)が第2、第3段階となる。
町内や近隣自治体には戸惑いや不安の声が広がっており、管内漁業協同組合は緊急抗議文を採択した。特定放射性廃棄物の持ち込みを条例で「受け入れ難い」と宣言する道は、鈴木直道知事が「条例は、将来にわたって道内に処分場を受け入れる意思がないとの考えに立つもの」とコメントした。
片岡春雄町長は、合意形成を応募の前提としており、26日に町議会議員や町内産業団体との意見交換会を開く。住民説明会の開催に向けても日程を調整しているが、現時点で同意の見通しは立っていない。
(北海道建設新聞2020年8月18日付1面より)