2021年末に閉鎖する王子マテリア名寄工場の敷地利活用などを検討している名寄市などの対策本部は19日、東京都内にある王子マテリア本社を訪問した。本部長の加藤剛士名寄市長らが、同社に協力を求める要望書を提出。工場閉鎖による道北地域経済への影響が最小限にとどまるよう、木質バイオマス発電の設置などを求めた。
19年10月、王子ホールディングス(本社・東京)の子会社である王子マテリア(同)は、21年末で徳田20の6にある段ボール原紙や特殊板紙を生産する名寄工場を閉鎖すると発表。名寄市を含む道北地域への経済的影響が大きいため、市と名寄商工会議所などは緊急対策本部を設置。工場の継続を王子グループに求めていた。
名寄市などと王子グループの協議の結果、工場撤退の再考は難しいものの、王子グループから22haに上る工場敷地の利活用に関して協力する意向が示された。工場跡地は撤退後も同社が所有する。協議を踏まえことし10月、敷地の活用などに向け、市と名寄商工会議所、風連商工会、道などで構成する対策本部を新たに設置した。
要望事項は①工場敷地における新規事業立案②グループ企業の名寄への拠点存置③雇用の確保―の3つ。新規事業としては木質バイオマス発電を軸とした再生可能エネルギーや物流拠点化など6つの事業を提案した。
グループ企業としては王子マテリアの子会社である北陽紙工(本社・名寄)の拠点存置を要請し、雇用確保として名寄工場や関連会社の従業員が名寄周辺の事業所へ転職する場合の支援を訴えた。
対策本部では、今後も王子グループとの協議を重ね、工場の跡地活用について検討していく。
(北海道建設新聞2020年11月25日付12面より)