独自のアルゴリズム用い不動産賃貸仲介業務を効率化
不動産テックのRESA(リーサ、本社・札幌)は、不動産賃貸仲介の業務効率化を担うサービス「(仮)成約ナビ」を夏ごろリリースする予定だ。独自のアルゴリズムに基づいて賃貸物件の成約確率を算出。確率の高い物件を仲介業者がポータルサイトなどで優先的に掲載することにより、成約件数増加につなげられると期待する。
不動産業向けに物件管理システムを運営するクリエイティブ・ウェブ(本社・大阪)と共同で1カ月間の実証実験をした。賃貸仲介会社がシステムに入力した719の募集物件について、成約確率を計算して高い順に提示。各物件の状況を観察した結果、実証期間中に上位10件中8件が成約していたことを確認できた。
成約確率の順位については大手賃貸仲介のマネージャーからも「現場感覚と大きな乖離(かいり)はない」と評価されたという。
確率計算はパターン認識という手法を用いる。過去の成約事例をシステムで読み込んで一つの成約パターンを作成し、対象物件がそのパターンにどれほど近似しているか照合するという方法を採用。確率の順位を提示するため、ポータルサイト掲載物件や優先して写真を撮りに行く物件を決めるときに活用できる。
従来、仲介会社が優先して扱う物件は担当者の経験や知識を基に選んでいた。同サービスを使えば、経験の浅い従業員でも成約確率の高い物件を選べる。RESAの芝哲也社長は「言語化できない勘と経験をいかに再現するか、知恵を絞った」と話す。
実証結果の分析や顧客ニーズ適合性の調査を進めている段階だ。
RESAは不動産投資分析の「満室ナビ」も提供。過去の不動産取引に関するビッグデータから満室物件の特徴を分析し、満室になりやすい家賃や設備を割り出すサービスだ。物件の市場価値や適正家賃を知りたいオーナーへのコンサルティングに役立てる。成約ナビで成約確率が低く出た物件も、満室ナビで弱点を分析しリノベーション提案などにつなげられるという。
2つの分析サービスを展開する芝社長は「データは目的を決めた上で集めないと、いざというときに活用できない」とビッグデータ利用のポイントを指摘する。
同社は2019年設立で、札幌市出身の芝社長を含めて従業員は2人。20年10月には道経済産業局から、J―Startup HOKKAIDO認定スタートアップに選ばれている。
(北海道建設新聞2021年5月25日付3面より)