国土交通省は、省エネ基準よりも1次エネルギー消費量を10%以上削減していることなどを評価する「低炭素建築物新築等計画」の2020年度認定状況をまとめた。全国の認定数は過去2番目に多い8032件。うち、道内は851件で前年度を下回ったものの、全国の1割以上を占める高い認定数になった。全国的に認定数が増えている理由は制度の認知度が高まっているためだが、今後はカーボンニュートラルの取り組み拡大が、増加を後押しする可能性もある。
12年12月に施行された都市低炭素化促進法に基づく認定制度。1次エネルギー消費量削減のほか省エネ基準レベルの断熱性能、選択項目でHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)等の導入、節水対策、躯体の低炭素化、ヒートアイランド対策などの措置が求められる。認定された住宅・建築物は税制優遇や容積率緩和などを受けることができる。
20年度の道内認定数は前年度を6.1%下回った。これまでの最多は15年度の961件だが、20年度は3番目に多く、好調に認定数を伸ばしている。20年度分の内訳は戸建て住宅が302件、共同住宅等が547件、複合建築物が2件だった。
12年度からの累計は、戸建て住宅が1833件、共同住宅等が3142件、複合建築物が4件の計4979件。東京都の1万392件、愛知県の7028件に次ぐ認定数だった。
全国の認定数は前年度比10.4%増。戸建て住宅が5841件、共同住宅等が2138件、複合建築物が47件、非住宅建築物が6件だった。累計は戸建て住宅が3万3089件、共同住宅等が2万278件、複合建築物が165件、非住宅建築物が29件の計5万3561件に上っている。
認定数が好調に推移している背景について国交省の担当者は、制度への認識が着実に広がっていると説明。国内の脱炭素化の取り組み加速については、政府の50年カーボンニュートラルの表明からまだ数カ月のため「今回の集計ではまだ数字に表れていない」と分析。「ただ、カーボンニュートラルは建築業界にとっても大きな動きなので、これから少しずつ影響が出てくるのではないか」と予想している。
(北海道建設新聞2021年6月29日付1面より)