国費は21.1%増の6780億円で過去最大級の伸び
国土交通省北海道局は26日、2022年度北海道開発予算の概算要求を公表した。一般公共事業費に当たる北海道開発事業費は国費で前年度当初比21・1%増の6780億3000万円、事業費で21・5%増の8444億3100万円。要求額が国費ベースで2割増を超えるのは過去20年間で例がなく、特別枠を最大限活用したことで過去最大級の伸び率となった。防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策は事項要求とし、予算編成過程で金額を固める。
要求・要望の重点事項には「強靱で持続可能な国土の形成(防災・減災、国土強靱化の強力な推進、ゼロカーボン北海道などグリーン社会の実現に向けた施策の展開)」、「食と観光を担う生産空間の維持・発展」「『民族共生象徴空間』(ウポポイ)などを通じたアイヌ文化の復興・創造および国民理解の促進」を設定。
激甚化する自然災害への対策と、本道の50年カーボンニュートラルに向けた取り組みを推進。併せて、ポストコロナの住まい方、働き方を見据えた生産空間の維持発展を図る。
道路は、道路整備と道路環境整備合わせて19・7%増の2884億5000万円を要求。21年度に新規事業着手した国道5号創成川通(都心アクセス道路)や、このほど事業再開した道横断道足寄―陸別への予算配分を視野に要求の総枠を取りまとめた。24年度に全線開通を目指す中樹林道路など、4月に開通時期を示した道内の各高規格幹線道路整備に注力する。
治水は17・6%増の1113億8900万円で、北海道胆振東部地震で被災した日高幌内川などへの恒久対策を継続。気候変動に対応するための流域治水を推進し、1級水系河川の整備計画見直しに向けた取り組みを加速させる。直轄ダムには約135億円を充て、三笠ぽんべつダムの22年度着工を目指す。
港湾は17・1%増の203億2500万円。新たな成長推進枠に45億9500万円を盛り込み、約2割増を果たした。ブルーカーボン促進に向けた藻場整備などを展開する。空港は2・4倍の160億9500万円。北海道エアポートへの貸付金が大幅に増加した。新千歳、稚内、釧路、函館空港の滑走路整備などに活用される見込みだ。
農業農村整備は、効率化に向けた集約のための農地再編整備、老朽化が進むかんがい排水更新の増加などで19・6%増の952億3400万円を計上。衛生管理型の岸壁整備、防波堤強化などを進める水産基盤は18・2%増の280億8000万円。森林整備は57・2%増の88億5100万円で、胆振東部地震で被災した森林の修復、主伐期を迎えた人工林の循環などに取り組む。
国交省は防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を事項要求する方針で、予算編成過程で金額を検討するため、総額は膨らむ可能性がある。
(北海道建設新聞2021年8月27日付1面から抜粋。同日付には1面ほか、4面、5面にも北海道開発予算概算要求の関連記事を掲載しています)