初週売り上げ好調 道内外で店舗増へ
フードデリバリーを手掛けるウォルトジャパン(本社・東京)の関連会社が、配達専用スーパー「Wolt Market」を札幌市内に開いた。店頭販売はせず、ユーザーの注文に応じて配達パートナーが商品を取りに来る「ダークストア」で、国内開設は初。新規事業立ち上げ責任者であるウォルトジャパンの福井優貴さんは「初週の売り上げは非常に好調。札幌を筆頭に道内外で店舗を増やす」と意気込む。
2日に開設した北区と白石区の店内の棚には、段ボール箱に入った食料品や飲料、日用品などが並ぶ。プレハブの冷蔵庫と冷凍庫では野菜・果物や冷凍食品を保管するなどラインアップの方向性は、一般スーパーと同じだ。地元卸業者から仕入れた道産商品も扱う。今後はペット用品や介護用品を拡充して利便性を高める。
ウォルトジャパン親会社のウォルト(本社・フィンランド)は、世界各地でサービス展開を広げている。フードデリバリーは23カ国で、ダークストアは8カ国で運営中だ。日本には昨年進出し、現在は37都市でサービスを展開。経済規模の大きさから最優先市場の一つとの位置付けだ。
国内初のダークストアを札幌で立地した理由について「提携店が全国的に見て多いだけでなく、店や配達パートナー、利用者のバランスがよい」(福井さん)と説明。北海道を重要な市場とみなし、旭川や函館での展開を検討する。積雪寒冷地域という共通点から、フィンランドで構築した配達システムは道内でも有効だという。
ウォルトジャパンは小売り各社との連携も加速させ、道内ではツルハドラッグやスーパーアークス、セイコーマートなどから商品を届ける。小売店にとっては、独自にネットストアや人材を準備せず配達需要に応えられるほか、CMなどウォルトのマーケティング施策の恩恵を受けられるメリットがある。在庫や人手が足りないときは注文受け付けを一時的に止められるなど使い勝手もよい。
札幌では出前館やウーバーイーツなど同業他社が展開し、11月には米最大手ドアダッシュも進出。競争激化が予想されるが、フードデリバリーの利用率はまだ高くはなく、顧客を取り合う段階ではないとみなす。「注文から20―30分で届けるクイックコマース利用をまずは共に広げたい」と意欲を示す。
提携店や商品ラインアップで他社との差別化を図りながらプラットフォームとしての改良に取り組む考えだ。
(北海道建設新聞2021年12月22日付3面より)